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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
JFLからJ1に飛び級移籍→クロアチアへ!“50m5秒台”新井晴樹24歳が語る工務店時代「現場を掃除したり、ビラを配ったり…」
text by
長束恭行Yasuyuki Nagatsuka
photograph byYasuyuki Nagatsuka
posted2022/10/22 17:00
クロアチア1部・シベニクに所属する新井晴樹インタビューの前編。写真はシベニク旧市街を一望できる聖バロネ要塞で撮影
大卒後は工務店に「あの会社に行って本当に良かった」
――JFLのFCティアモ枚方に加入するきっかけは?
最終節に近い2020年12月の関東リーグの試合で、FCティアモ枚方の関係者が視察に訪れました。ティアモについては詳しく知らなかったのですが、チームメイトが「今日、FCティアモ枚方の関係者が来ている」と事前情報をくれまして。ラスト30分ほど出場したその試合でも僕の調子は良かったんです。そうしたらティアモから声が掛かりました。
――すぐに打診があったのですか?
いや、最終節が終わって次の日ぐらいにオファーが来て「晴樹、どうする?」と聞かれまして。ステップアップはもちろんしたかったので、ティアモ入団を決意しました。
――その頃はまだ海外挑戦するイメージはなかったのですか?
まったくなかったですね、はい。
――翌2021年1月にティアモへと加入し、大学卒業後は工務店で働きながらサッカーを続けたんですよね?
平日の午後14時から19時まで「匠建枚方」という工務店で1日5時間働いていました。上司の車で移動してからは新築現場を掃除したり、周辺にビラを100枚から200枚配ったりして。その現場で上司が迎えに来るのを待ってから2軒目に行くか、会社に戻って雑務をしていましたね。
――職場で学んだものは何ですか?
仕事内容もそうなんですけど、一番は人間関係です。自分は午前にサッカーをして午後から仕事というスケジュールですが、正直に言ったら、会社にとって僕はあまり力になれないじゃないですか。
――いやいや、そんなことはないですよ。
それにもかかわらず、「新井君の本職はサッカーなんだから、まずはサッカーに集中しなさい。仕事はサッカーに影響しない程度に頑張ってくれ」と。社長さんや部長さんをはじめ全員が「新井君、新井君」と呼んでくれて、仕事が忙しい中でも時間を割いて試合を観に来てくれました。
――チームメイトも同じ会社で働いていたのですか?
そこでは自分だけです。斡旋先はクラブのスポンサーで、こちらの希望は出せなかったから「晴樹、工務店の仕事が決まったよ」とだけ伝えられました。工務店の仕事は正直あんまり知らないですし、「大丈夫かな?」という心配はありましたが、「あの会社に行って本当に良かった」と今では感謝しています。
――ティアモでのポジションはどこだったんですか?
4-4-2の左サイドハーフでずっとレギュラーでしたね。シーズン前から僕の情報がかなり回っていたらしくて、開幕戦の時点からディフェンスを2枚つけられ、縦を切られてしまって大変でしたね(苦笑)。