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プロ野球PRESSBACK NUMBER
消えたオマリーのパンツを探せ! 大杉勝男、古田敦也、バレンティン……“伝説の用具担当”が語る歴代スワローズ選手たちの愉快なこだわり秘話
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2022/10/11 11:02
1995年リーグ優勝を果たしたヤクルト・野村監督(左)はビールかけでオマリー(右)の〝攻撃〟を受ける
ド派手大好き! バレンティンが頼った「テライサン」
「いつも色々なバットを使いたがるのに、NPB公認のマークをもらうために受けるチェックはいつもギリギリで慌てて審判の控室に行く、なんてことはよくありました。スパイクの紐も、規定外のド派手な色の物を通して履いて、試合中に審判に“寺井さん、バレンティンのあの紐は?”と指摘を受けたことも……。ヘルメットに付けるデッドボール避けのフェイスガードも誰より先に入手して、“今すぐ使いたい!”と(笑)。急いでヘルメットに穴をあけて取り付けたことを覚えています」
44年にわたり裏方としてチームを支えてきた。歴代の名監督やスター選手との思い出で、最も嬉しかった出来事はどんなことだろう。
「特別なことではないんです。キャンプの打ち上げの時や、練習の後なんかに、監督や選手たちが“お疲れさまです”とか“ありがとうございました”という言葉をかけてくれるのが何よりありがたい。今は用具担当を離れていますが、時々神宮球場のクラブハウスにクリーニングしたものを届けに行ったときなんかに、高津(臣吾)監督や石川(雅規)投手、青木(宣親)選手など、顔を合わせるといつも、“寺井さんお元気ですか?”と声をかけてくれる。その顔を見ると本当に嬉しくなりますね」
現在はヤクルト球団クリーニング場で働く寺井さん。ビールかけでずぶ濡れになったユニフォームは、しみ込んだ匂いと染みを取り除くのに洗濯工程を2度繰り返さなければいけないという。手間のかかる作業だが、裏方としては至福の瞬間でもある。
10月12日から始まるクライマックスシリーズ・ファイナルステージ、そして日本シリーズへ。球団史上初めてとなる2年連続日本一を果たし、美酒にまみれたユニフォームが届くその日を心待ちにしている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。