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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「FWでは前田大然と上田綺世が一歩前に出た」中村憲剛に聞く森保ジャパン“各ポジションの最新序列”「三笘薫の起用法は悩ましい」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2022/10/04 17:03
得点こそなかったものの、欧州遠征でそれぞれ個性を示した前田大然と上田綺世。中村憲剛氏はこの2人がFWのなかで「一歩前に出た」と評価する
「2010年を思い出した」シュミット・ダニエルの大仕事
そして、今回の2試合で最後に大きなインパクトを残したのはGKのシュミット・ダニエルではないでしょうか。アメリカ戦は負傷した権田修一と交代して無失点に抑え、エクアドル戦は値千金のPKストップで、負けを引き分けに持ってきてくれました。
今回は強化試合であり本番ではなかったとはいえ、負けで終わるか引き分けで終わるかは印象が大きく変わります。その功績は、森保監督の記憶に残るのではと。
個人的には、2010年の南アフリカW杯の直前を思い出しました。川島永嗣がイングランド戦で使われ、PKを止めた。そこから定位置をつかんでいきました。
エクアドル戦がW杯の試合なら、シュミットは勝ち点1をチームにもたらしたことになります。中堅国はGKが勝ち点を持ってくるのがポイントで、本人も自信になったでしょう。周りの目も変わったはず。権田が出ても、シュミットが出ても、どちらでも安心できるのはチームの強みになると思います。
今回の2試合は本番に近い形でメンバーが集まり、森保監督から具体的な戦い方の提示があったなかで臨みました。課題も出ましたが、それも含めて収穫だったと思いますし、森保監督にとっては多くのものが見えた遠征だったのではないかと思います。
選手たちも手応えはそれぞれでしょうが、森保監督の提示を理解しつつ、自分の色を出す努力を全選手がしていた。W杯を見据えた戦い方が明確に見えてきたことで、一体感と本番への期待感が高まってきました。
森保監督は選手たちに「所属チームを勝利へ導く存在」になることを求めています。監督はコンセプトを提示しますが、ピッチで実際にプレーするのは選手です。秒単位で戦況が大きく変化するなかで、チームのコンセプトを遂行しつつ、自分の判断、選択、プレーでチームに良い流れを持って来られる選手、自己解決能力を持った選手の数は、多いほうがいい。
メンバー発表までの残り1カ月、それぞれがケガをすることなく、自チームで成長してほしいと思います。
<前編から続く>
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