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レアル番記者の“久保建英ガチな評価”「クボが“試験”に合格したのは1年目だけ」「成長を妨げている最大の敵は彼自身。それに気づけば…」
posted2022/08/21 17:02
text by
ハビエル・シジェス/ディアリオ・アスJavier Silles/Diario AS
photograph by
Daisuke Nakashima
クボであること。それは決して簡単なことではない。
人々が彼のタレントに向ける大げさなまでの畏敬の念、彼を取り巻き続ける周囲の雑音、そして彼の才能がもたらす高すぎる期待感は、一挙手一投足が注目されるこの選手のキャリアの足かせとなっている。
彼ほど厳しい批判の目にさらされている選手はそういない。
期待にそぐわぬパフォーマンスを見せれば厳しく非難される一方で、少しの活躍が極端に賞賛される。クボへの評価はいつだってそのどちらかだ。中間は存在しない。まだ若く、この先長いキャリアが続くというのに、何一つ見逃してはもらえない。
クボは永遠に続くオーディションの舞台上で生きており、その過剰な演出が彼の飛躍の妨げとなっているのだ。
これまで彼は周囲の期待値を上回ることはできていない。そしてその現実と向き合うこともまた、彼にとっては何の助けにもなってはいない。
昨季は期待された進化を遂げることはできなかった
マジョルカでの2度目のシーズンも楽なものにはならなかった。期待されていた進化を遂げることはできなかった。そう言わざるを得ない。
マジョルカへの帰還により、彼は抜きん出た存在との評価を多数受けた2019/20シーズンの自分自身を取り戻すはずだった。
彼は発奮材料となる刺激を必要としていた。自身が重要な存在だと感じ、そのクオリティーに伴った主役の座を独占することで、まだまだ改善の余地がある様々なスタッツを伸ばしていくはずだった。
しかしながら、実際はそれらの目標を何一つクリアすることができなかった。近づくことすらできなかったと言えるだろう。マジョルカを退団する際のクボは、昨年夏の復帰時よりも悪い状態のようにさえ見えた。
シュートの本数と効率性が増した序盤は悪くなかった
とはいえ、シーズンの入りは悪くなかった。システムが4-2-3-1であれ4-4-2であれ、クボはルイス・ガルシア・プラサ監督が思い描くステージの中心にいた。彼本来のプレーポジションであり、今後もキャリアを通して定位置の確保に苦労するであろう右サイドとトップ下の間で、当初はマジョルカの主役として振る舞うことが許されていた。
右サイドに入った際はダニ・ロドリゲス、パブロ・マフェオとスムーズな連係を築いた。この3人は共通のスペースを認識、共有することができ、マフェオのオーバーラップ、ダニのハーフスペースへの走り込みはクボが求めるプレースペースを作り出した。