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「クボは我々の心に小さな“トゲ”を」「ソシエダには必要なものが全て…」マジョルカ番記者が本音で記す“久保建英との別れ”
posted2022/08/21 17:03
text by
カルロス・ロマン/ウルティマ・オラCarlos Román/Ultima Hora
photograph by
Quality Sport Images/Getty Images
タケ・クボがマジョルカを去った。彼がパルマに残るべき理由はたくさんあるように思えたが、彼は異なる決断を下した。
確かに、昨シーズンの終盤は彼本来のレベルとはほど遠いパフォーマンスに終始した。チームをどん底から引き上げたハビエル・アギーレも、ぎりぎりの状況下で彼を先発から外し続けた。
それでもマジョルカがごくわずかの差で残留を成し遂げることができた要因の一つは、間違いなくこの日本人選手の貢献にあった。
2プレーを除き、昨季のクボが期待外れに終わったことも事実
パーフェクトなカウンターアタックからヤン・オブラクとの1対1を制したアトレティコ・マドリー戦の決勝ゴール。そしてウナイ・シモンのオウンゴールを生み出したアスレティック・ビルバオ戦の決勝ゴール。
彼の閃き溢れる2つのプレーがもたらした勝ち点6がなければ、今頃マジョルカは2部リーグの開幕に向けて準備していたことだろう。
ただこの2プレーを除き、昨季のクボが期待外れに終わったことも事実だった。
昨季の最終節を終えた翌日の時点で、既にクボがマジョルカに残る可能性はわずかとみられていた。EU圏外枠の問題もあり、レアル・マドリーでプレーできる望みは薄かったものの、3度目のレンタル移籍を現実視する声はほとんどなかった。
恐らく、今季こそ理想的なプレー環境が整っていたというのに。
昇格と降格を繰り返してきた数シーズンを経て、昨季にようやくトップリーグへの残留を果たしたマジョルカは、クボが加入した2019年や2021年と比べ、より地に足をつけた状態で開幕を迎えようとしている。
より時間をかけて組織力を磨き上げ、プレーの幅を広げた今季のチームであれば、これまでとは大きく異なるクボのプレーが見られたかもしれない。
我々の心に小さな“トゲ”が刺さったままのように
だが残念なことに、クボの売却による利益を期待していたレアル・マドリーにも、クボをほとんど起用しなかった監督に新たなプロジェクトを託したマジョルカにも、彼をソンモッシュのピッチに留め続けるための十分な根拠はなかった。
クラブは日本企業とのスポンサー契約を更新したが、それも十分ではなかったようだ。