そのような特色のあるリーグに、今シーズンからは日本代表の攻撃を担うアタッカーたちが挑戦する。南野拓実がモナコに、伊東純也がスタッド・ランスに加入した。

「これを機にリーグ・アンがもっと注目してもらえたらいいですね」と話す松井は、リーグ自体の特徴が日本人選手の能力向上につながると期待している。

「攻撃でも一対一のデュエルで、『自ら仕掛けて、突破してこい』と求められることが多い。そういう環境でやることで、彼らのフィジカルや個で打開する能力が上がるだろうなと僕は考えています」

　先のW杯予選突破の立役者である伊東と、このリーグの相性は抜群だという。

「フランスではサイドの攻防では、絶対に仕掛けないといけない。そこはサッカーの醍醐味ですから、伊東君、楽しみですよね」

モナコに住みたくて…「オファー、来なかったなぁ」

　一方で、南野についてはどうだろうか。

「モナコは税金もなく、ニースと並んでフランス人が住みたい街。僕もモナコに住みたくてモナコ戦では頑張って計3ゴール決めたのに……。オファー、来なかったなぁ」

　モナコの街の魅力を感じていた松井は、こう強調する。

「僕も巨大な太ももを持つディフェンダーを背負ったときに、ボールをどこに置くべきか考えながら取り組んで、そういう選手を相手にしてもボールをキープできるようになりました。南野君は（香川）真司みたいに、『（マークを外して）ボールを受け、相手が身体を当ててくる前に味方に出して、次にまた中間ポジションでボールを受ける』というのを続けていく形になるのかなと思います。プレミアでもやっていたと思いますが、フィジカルの強い相手と対峙したときに、どうすれば自分が活きるのかを考え、その方法を確立していくことが大切になるでしょうね」

　最後に、PSGとリーグ・アン、それぞれの対照的な楽しみ方を松井は熱く語った。

「パリはやはり、あの3人ですよ！　メッシとネイマールという創造性あふれる2人に、規格外の速さがあるエムバペ。もちろん、中盤以降も一流の選手ばかりで、セルヒオ・ラモスはイケメンだし……。難しいことは言わず、あえてライトなファン目線で楽しめるところが魅力だと思いますね」

　一方で、コアなファンも楽しめる要素がリーグ・アンにはあると考えている。

「すごい才能を秘めている選手がたくさんいるんです。その中から、将来はプレミアリーグで活躍するような選手も多く出てくるはず。だから、若手に目を向けて、『自分には先見の明があるのかな』と考えながら試合を見ていくと、楽しめると思います」

　確かにPSGのライバルとなるチームには、若きブレイク候補がひしめいている。リヨンのMFチェルキとDFリュケバの19歳コンビ、21歳のモナコのDFバディアシル、リールの22歳のFWデイビッドなど、いくらでも挙がる。

　ライト層も、コア層も楽しめるリーグ。

　それがスター軍団PSGと、それを打ち負かそうとする若き才能にあふれたリーグ・アンの魅力なのである。