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JリーグPRESSBACK NUMBER
「メッシやネイマールがそうですが…」PSG戦で得た学びとは? J1王者・川崎の生え抜き選手たちが感じた“世界基準”「1vs1よりむしろ…」
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/07/23 11:06
メッシ、ネイマール、ムバッペら“世界最高峰”を肌で感じた川崎Fの選手たち。フル出場の車屋紳太郎は開口一番「疲れましたよ」と苦笑した
登里享平の証言「1vs1よりもむしろ…」
スーパースター軍団が仕掛ける駆け引きに舌を巻いていたのは、車屋の隣にいた左SBの登里享平も同様だった。PSGの攻撃というと、圧倒的な個の能力に目が行きがちだ。だがMNMトリオをサポートする周囲の選手たちの立ち位置と距離感も絶妙で、攻守で連動した圧力を加えてきた。「個」よりもむしろ「グループによる崩し」によって後手を踏まされたと登里は明かす。
「相手のボールの持ち方ですね。1対1よりもむしろ、グループで局面の数的優位を作るのがうまい。それはすごく感じました」
コーチングに優れた登里は、左サイドの味方を動かしながら、中央突破を警戒して防波堤を維持しようとした。だが相手はボールの取りどころを絞らせてくれず、連動しながら組織の綻びを簡単に作り出された。特別な崩しではないが、そこに至る駆け引きが実に巧みだったという。
「守備では中を締めるところで、マルシーニョやチャナティップ、ケント(橘田健人)もそうですが、しっかりと(周りを)動かすところは意識していました。ただ相手は体の向きでこちらの足を止めたり、目線を変えさせるような立ち方、運び方がすごくうまかった。遊びのパスもうまくて、なかなかチャレンジできない時間帯もありました」
そして前半32分に失点。左右に大きく揺さぶられ、最後はメッシが振り抜いた右足シュートの軌道が変わり、ボールがゴールネットに吸い込まれた。
車屋が「あれは完璧(笑)」と自画自賛したプレーとは?
力の差を見せつけられた前半だったが、それでも耐え続けたのはチームとしての頑張りがあってこそだろう。前半終了間際にはネイマールが仕掛けた突破に対して、車屋が懐に入ってクリーンにボールを刈り取っている。「あれは完璧でしたね(笑)」と自画自賛するほど、会心のディフェンスだった。
「球際で1対1になった時に下がることが多かったので、僕自身がボールを取った時のようにしつこく密着してディフェンスをすることが大事だと思っていました。怖がって見ているだけではボールは取れないので。ボールをしっかり取り切るという意識は、あのシーンに出せたんじゃないかなと思います」