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J1清水加入「ピカチュウ」30歳の苦労人ぶりが泣ける 「最初は嫌だった。本名で呼んでほしい」も“ポケモン愛称”を受け入れたワケ
posted2022/07/23 17:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Leonardo Fernandez/Getty Images
ピカチュウが、Jリーグでプレーする!
清水エスパルスが17日、ブラジル1部フォルタレーザのMFヤゴ・ピカチュウ(ただし、Pikachuはポルトガル語読みでは「ピカシュウ」となり、母国ではそう呼ばれていた)の入団を発表した。
契約期間は2024年末までの約1年半で、フォルタレーザの会長は移籍金が80万ドル(約1億1000万円)だったことを明かしている。
身長169cm、体重63kgと小柄だが、圧倒的なスピードと柔らかいテクニックを駆使してのドリブルで右サイドを突破し、精度の高いクロスを入れ、自らも強烈なミドルシュートを叩き込む。右サイドの角度が小さい位置から右足のアウトサイドでカーブをかけて捻じ込むシュートはワールドクラスで、PKとFKの名手でもある。
守備では、マークする相手の意図を察知し、相手とボールの間に体を入れてボールを奪うのがうまい。
若い頃は主として右SBとしてプレーし、超攻撃的SBとして人気を集めた。近年は右MF、さらには右ウイングとして起用されることが増え、右サイドならどこでもこなせるポリバレント性がある。
「小さくてすばしっこい」という理由で「ピカシュウ」と
フルネームは、グラブソン・ヤゴ・ソウザ・リスボア。本人は、「特にポケモンやピカチュウが好きだったわけじゃない。最初は、こう呼ばれるのがすごく嫌だった」と打ち明ける。
ブラジル北東部ベレンで生まれ、9歳でトゥナ・ルーゾという地元のクラブのフットサルチームに入団した。監督が茶目っ気たっぷりの人物で、選手全員にニックネームを付けて呼ぶのが習わしだった。
当時、ブラジルではポケモンがテレビで放映され、映画も封切られて子供にも大人にも人気があった。ポケモンのファンだった監督は、「小さくてすばしっこい」という理由でヤゴ少年を「ピカシュウ」と呼んだのである。
当初、本人は「自分の名前があるんだから、名前で呼んでほしい」と思い、不満だったという。しかし、あだ名は本人が嫌がれば嫌がるほど周囲が呼びたがる――それは万国共通である。本人の思いとは裏腹に、周囲の人からは「ピカシュウ」としか呼ばれなくなった。