熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「私もアレックスも、無給で仕事をしているんですよ」三都主アレサンドロ44歳が“身銭を切って”ブラジルで追う夢とは〈本人に聞く〉
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2022/07/03 11:04
三都主アレサンドロとご両親。ブラジルの地でセカンドキャリアを着実に歩んでいる
「ここまでは100点満点だけど、問題はここから。まず、来年、州1部で上位に食い込み、ブラジルリーグ4部に参入する権利を獲得したい。コパ・ド・ブラジルにも出場したい。
クラブを強化するには、莫大なお金がかかる。僕たちは地に足を着けて、一歩一歩、着実に前進していきたい」
私もアレックスも、無給で仕事をしているんですよ
州リーグの2部以下の試合はテレビで中継されないので、テレビ放映料は入らない。入場料収入も少ない。あるのはスポンサー収入だけで、当面は持ち出しになっていることが容易に想像できる。
アルコのパウロ・シゲマサ・シャビエル会長は、「私もアレックスも、無給で仕事をしているんですよ」と漏らしていた。
「それでは、あなたたたちはどうやって家族を養っているのですか」と思わず尋ねたところ、 「私は、アルコのユニフォームに社名が入っている『テンカ』というスポーツウェアの会社を経営しており、そこからの収入がある。アレックスはマリンガ市内などに家屋や土地を所有していて、その不動産収入がある」。
さらに、「将来的には、選手が移籍したらその移籍料の一部が入る見込みだけど、それはもう少し先の話」と付け加えた。
そのような厳しい状況でも、フットボールの発展のため、そして自らの夢を実現するため、三都主アレサンドロは日夜、奮闘している。
以前、「自分では、日本人とブラジル人の割合をどう考えているか」と尋ねたことがある。彼は、「僕はブラジル系日本人だ」と明言した。
今回、彼を取り巻く人々から色々な話を聞き、最後に本人とじっくり話をして、彼は日本人とブラジル人の最良の部分を集めたハイブリッドな男なのではないかと感じた。