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白血病を乗り越えて最愛の人と結婚式…J新潟DF早川史哉(28)の妻・真優さんが語る壮絶な道のりと今「どんなことがあっても彼を支える」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byFumiya&Mayu Hayakawa
posted2022/06/27 06:00
J2アルビレックス新潟DF早川史哉と妻・真優の結婚式の様子。たくさんの仲間たちから祝福を受けた
2人が4年生になった15年夏、早川がJリーガーになることが決まった。プロのアスリートになる彼を支えるため、真優さんは大学院に進む決断を下す。
「棒高跳びの選手としては大学で区切りをつけて、今度は完全にサポートする側に回ろうと思いました。プロになる彼をよりしっかりとサポートするためと、私がずっとお世話になってきた陸上競技をする選手のパフォーマンス向上により貢献したいと思ったので、大学院の栄養学研究室に進んでより深く栄養学などを学ぼうと思ったんです」
早川はプロサッカー選手に、真優さんは筑波大大学院に。将来を約束していた2人は、まずはそれぞれの道をスタートさせた。そんな未来ある人生に突然、白血病という病魔が襲い掛かった。2人が大学を卒業してからわずか2カ月足らずの出来事である。
真優さんが感じとっていた異変
実は、16年の年明け頃から異変はあった。当時は新潟と茨城の遠距離恋愛だったが、頻繁に連絡を取り合っていた。真優さんは早川がチームの高知キャンプに参加した頃から小さな変化を感じとっている。
「フェイスタイムで話しているときに『全然疲れが取れないんだよね』と言っていたんです。確かに顔も明らかに疲れているし、眠そうな顔を常にしていました。最初は『それだけプロはきつい世界なんだな』としか思っていなかったのですが、それがずっと続くので、だんだん私も不安になっていきました」
キャンプレポートをWebの記事で見たとき、頬が若干こけているのが気になった。常にサッカーに対して実直で、ケアや食事などを怠らなかった早川だけに意識が低くなることは絶対にない。ただ「ちゃんとご飯を食べられているのかな」と不安になり、真優さんは何度も早川に確認した。
「これがプロの世界なのかな。大丈夫、じきに慣れてくるよ」
心配をかけまいと明るく話してくれる早川の姿に、真優さんは心を痛めながらも、その挑戦を静かに見守っていた。