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「あの守備でよく使うな…」巨人・ウォーカー外野手(30歳)がブルペンで“80球投げ込み”…じつは28年前に松井秀喜もやっていた理由
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2022/06/17 11:03
亀井コーチ(右)に見守られながら、送球の練習をするウォーカー
スポーツ紙の報道などによると、亀井コーチの狙いとしては腕だけではなく、下半身と背中の筋肉もしっかり使って投げることを意識づけさせるための練習だったという。もちろんブルペンに入って傾斜のあるマウンドでピッチングをすることで、堀内さんが指摘していたような効果もあるかもしれない。
何よりウォーカーの場合は、そもそもボールを投げる感覚、正しいフォーム、投げ方を普段以上に体感することが大切だったはずだ。その意識づけがしっかりできた上で、次のステップに踏み出す。ブルペンに立たせた狙いは松井さんを教えた堀内さんも、ウォーカーを指導する亀井コーチも同じだったと思う。
交流戦のパ・リーグの主催試合では指名打者として出場し、守備での負担はその分、軽減されてきた。しかし再びリーグ戦が始まれば、ウォーカーの左翼での守備の出来、不出来が問われる場面が必ず出てくるはずである。
求められるのはレーザービームで刺すことではない
求められるのはレーザービームで二塁走者を次々とホームで刺すことではない。少し正面を逸れた安打や飛球で一塁走者が三塁に進むことや、二塁走者が三塁へとタッチアップすることは許さない。浅い飛球で三塁走者を本塁に突っ込ませない。相手チームにそういう走塁をしよう、させようと思わせないくらいの捕球の動きとスローイングができれば、一連の亀井コーチとの取り組みの効果は十分にあったといえることになるのだろう。
そのためにブルペンで黙々と投げ込み、毎日、外野で守備練習に励むウォーカーをファンは知っている。
もちろんプロとして最低限のレベルの守備をするのは当たり前だ。ただ、そんな姿を知るだけに、ウォーカーの最大の売りはバッティングであると思って、多少の失敗には目を瞑ってもいいような気持ちになってくるファンも多いのではないだろうか。
アダム・ウォーカーとは……本当に不思議な選手である。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。