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「サッカーにまったく興味のない人がこんなに…」中村憲剛が衝撃を受けた“学生たちのナマの声” 「無関心層」を取り込むカギはどこにある? 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2022/06/19 11:01

「サッカーにまったく興味のない人がこんなに…」中村憲剛が衝撃を受けた“学生たちのナマの声” 「無関心層」を取り込むカギはどこにある?<Number Web> photograph by JFA

母校・中央大学の学生たちの話に耳を傾ける中村憲剛さん。「サッカー無関心層」の本音は想像以上にシビアなものだったという

「関心がないとは言っても、少しくらいは知っているだろうと思っていたのです。ところが、『ホントに知らないんです』とか『ほとんど観たことがないです』という声があり……。『テレビを点けたらW杯をやっていたので、なんとなく観た』という学生もいて。W杯でさえもテレビを点けなかったら観ていなかったのか、と。あれだけあちこちで告知されているはずなのに……」

 学生たちの声に触れた中村さんは、自身の日常を振り返ってみた。サッカー以外のものに、自分はどれぐらい興味を持っているのか。そもそも、興味を持とうとしているのか。サッカーに無関心な層と自分に、行動パターンの共通点があることに気づかされた。

「誰だって興味がないものには、アンテナを張らないですよね。僕もSNSをやっていて、フォローするのは好きなジャンルとかモノで、自分のタイムライン上ではものすごくサッカーが流行っているし、賑わっている。けれど、他の人のタイムラインでは、当然ですが僕とは違う好きなスポーツやテーマで埋まっているのだな、と。サッカーは誰にとっても特別なものではなく、『ワンオブゼム』でしかないんだ、ということに改めて気づかされました」

多様化する娯楽、「サッカーはコスパが悪い」の声も

 私たちの日常は、情報で溢れている。SNSは時空を軽々と飛び越え、あらゆる情報を瞬時に拡散させる。

 余暇の選択肢も多い。スポーツならサッカー、野球、ラグビー、バスケットボールなどの国内リーグが、シーズンを重ねて開催されている。スポーツだけでなくアミューズメント施設、自然と向き合うレジャーも、健康志向の高まりと相まって人々に好まれる。

 コロナ禍では外出を控えることが習慣化した。「ソロキャンプ」なるものも定着した。可処分時間の過ごし方は多様化している。学生からは「サッカーはコスパが悪い」という声も聞かれたという。

「娯楽が溢れているのは間違いないですよね。サッカーに興味を持ってもらう大前提として、選手の高いパフォーマンスと露出が必要なのは間違いないでしょう」

【次ページ】 地域社会との関わりからサッカー振興を

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