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「“高田明の娘”としてしか判断してもらえない。それが一番イヤでした」Jリーグ理事・高田春奈氏はなぜ東大博士課程で学びを続けるのか?

posted2022/06/25 11:00

 
「“高田明の娘”としてしか判断してもらえない。それが一番イヤでした」Jリーグ理事・高田春奈氏はなぜ東大博士課程で学びを続けるのか?<Number Web> photograph by Tomosuke Imai

今春からJリーグの常勤理事に就任した前V・ファーレン長崎社長の高田春奈氏。業務と平行して、東京大学で教育思想に関する研究を続けている

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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Tomosuke Imai

2022年3月、野々村芳和氏がJリーグの新たなチェアマンに就任した。Jリーグでプレーした経験を持つ、初めてのチェアマンが誕生したことになる。ほかにも株式会社フィールドマネージメント代表取締役の並木裕太氏や、株式会社NTTドコモ スポーツ&ライブビジネス推進室長だった馬場浩史氏が常勤理事に新任された。そして、V・ファーレン長崎の代表取締役社長を務めていた高田春奈氏も常勤理事に名を連ねている。

公認会計士である米田惠美氏(2018-2020年)、スペインでの指導歴を持つ佐伯夕利子氏(2020-2022年)に続く、女性の常勤理事である高田氏。Jリーグ史上2人目の女性社長としても注目を集めた高田氏に、サッカーとJリーグの可能性について話を伺った。(全3回の1回目/#2#3へ)

――高田さんは、ジャパネットたかたの創業者である高田明氏のご長女ということですが、父親が有名人だということをどんなふうに受け止めていたのでしょうか?

「私は中学から兵庫県にある女子校に進学をしたので、父と一緒に暮らしていたのは小学生までだったんです。そのころはまだ“地元のカメラ屋”でしかなくて、当時の父は、ときどき長崎県内の企業が集まるテレビショッピングやラジオに出ているくらいでした。それが離れて暮らすようになってから、露出がどんどん増えていったわけです。高校時代に先生から『お父さん、テレビに出ていたね』と言われたときは驚きました。

 大学を卒業するころにはジャパネットたかたの名前はけっこう知られるようになるんですが、自分から話すことは一切なかったんですよね。でも『タカタ』という名前だけでもジャパネットと結び付けられるし、加えて長崎出身となれば、わかる人にはわかってしまうじゃないですか? だから、長崎出身であることさえも言いたくなかったです(笑)」

――それは恥ずかしいから……でしょうか?

「恥ずかしいのもありましたけど、“高田明の娘”としてしか私という人間を判断してもらえなくなる。それが一番イヤでした。学生のころはそこまででもなかったけれど、社会人になってからは、特にそういう感情が強くなりました」

【次ページ】 仕事と平行しながら東大で学びを続ける

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