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「サッカーにまったく興味のない人がこんなに…」中村憲剛が衝撃を受けた“学生たちのナマの声” 「無関心層」を取り込むカギはどこにある?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJFA
posted2022/06/19 11:01
母校・中央大学の学生たちの話に耳を傾ける中村憲剛さん。「サッカー無関心層」の本音は想像以上にシビアなものだったという
地域社会との関わりからサッカー振興を
そのうえで、中村さんは「シャレン!」に着目する。JリーグとJクラブが地域の企業や団体、自治体や学校などと連携し、社会課題や共通のテーマに取り組む活動が、社会連携活動を縮めた「シャレン!」だ。
「『シャレン!』はクラブ絡み、スタジアム絡みで、社会と連携して地域の課題解決に取り組んでいる、そこに、サッカーにまったく関心のない人を引きこむ術があるのでは、と。22年の『シャレン!アウォーズ』でソーシャルチャレンジャー賞に選ばれた、いわてグルージャ盛岡は、スタジアムから出るゴミを堆肥化して米作りに活用し、できたお米は県内の子ども食堂に寄付される。そこで育ったものを消費するという循環型の施策です。SDGsに関心のある人なら、『サッカークラブがこういうことをやっているんだ』と興味を示してくれるかもしれない。コラボした企業の人が、『じゃあ、ちょっと試合を観に行ってみようか』となるかもしれない。多くの企業と組むことで、サッカーに馴染みのなかった人たち、馴染みが薄かった人たちを、取り込めるかもしれない」
現役時代の中村さんは、無関心層の興味の扉を開いた体験がある。プロ入りから引退までの18年間を過ごした川崎フロンターレは、地域密着や地域貢献に意欲的なクラブだった。
「NHKのEテレに出演した時に、その番組を観ていた幼稚園児が僕を認識してくれて、家族でスタジアムへ来てくれたことがありました」
サッカーとは直接的に関係のない場所へ、サッカーをダイレクトに持ち込むことなく関わっていく。その結果として色々な世代、職種の人たちからJリーグに、日本代表に、サッカーそのものに興味のアンテナを向けてもらうのが、これからのサッカー振興の在り方なのかもしれない。
「サッカーだけをやっていると、その世界だけでとどまってしまう。Jリーグのクラブが地域と連携して活動を広げていくことは、サッカーを知ってもらうのと同時に、地域の活性化にもつながる。子どもたちの心身の健全な発育にも貢献できます」