欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ハイレベルな“強度と密度”でクロップとリバプールは再び「4冠チャレンジ」 来季CL決勝の地“約束のイスタンブール”へ「ホテルを予約しておいてくれ!」
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2022/06/04 17:03
最後まで四冠の可能性を残したリバプール。リーグとCLのタイトルは逃したが、クロップは下を向くことなくすでに来季を見据えている
多くの人を魅了するクロップの人間性
さらに、本拠地アンフィールドにおけるプレミアリーグの闘いで、途轍もないデータを残していた。
2017-18 12勝7分無敗 得点45・失点10
2018-19 17勝2分無敗 得点55・失点10
2019-20 18勝1分無敗 得点52・失点16
2021-22 15勝4分無敗 得点49・失点9
栄華を謳歌した1970、80年代に5回、2008-09シーズンもホーム無敗を記録しているが、クロップ体制下の7シーズンでは実に4回を数える。アンフィールドでは絶対の強さを誇っている。彼の補強プランが成功を収めていることは、このデータからも明らかだ。
フットボールは世界中どこへ行ってもフットボールであり、コーチングとは選手(人間)と良好な関係性を築くこと。クロップのゲーゲンプレスを実践するには密度、強度ともにハイレベルが求められ、サマーキャンプではかなり追い込まれる。それでもクロップ批判が聞こえてこないのは、彼がしっかりとした分析と準備を進め、選手たちを信頼しているからにほかならない。
またスカウティング部門、メディカルスタッフ、さらにオーナー企業『フェンウェイ・スポーツ・グループ』もクロップの人間性に惚れ、彼のために力を尽くす。人と人との深い絆もリバプールの魅力だ。
来季は再び四冠チャレンジを目指す
完成形と高く評価されながら、チャンピオンズリーグとプレミアリーグを僅差で逃した悔しさをバネに、来シーズンのリバプールは再び四冠チャレンジを目指すに違いない。
「我々リバプールは類稀な競争力を持ち、優れた組織力も兼ね備えている。来シーズンも必ずチャンピオンズリーグ決勝の舞台に立ってみせるよ。決勝はどこでやる? そうか、イスタンブールか。ホテルを予約しておいてくれ!」
2005年5月、ミランを相手に3点のビハインドを背負いながらも追いつき、PK戦の末にチャンピオンズリーグを制した一戦は“イスタンブールの奇跡”として語り継がれている。ならば来シーズンは、“約束のイスタンブール”だ。
クロップは決して下を向かない。選手たちもついていく。
さらなる高みを目指すリバプールであれば、四冠チャレンジも達成可能なミッションだ。