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ハイレベルな“強度と密度”でクロップとリバプールは再び「4冠チャレンジ」 来季CL決勝の地“約束のイスタンブール”へ「ホテルを予約しておいてくれ!」
posted2022/06/04 17:03
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
プレミアリーグはマンチェスター・シティに及ばず、チャンピオンズリーグもレアル・マドリーのGKティボウ・クルトワの神セーブに阻まれた。とはいえ、FAカップとリーグカップの二冠を達成。2021-22シーズンの最終盤まで四冠の可能性を残していたのだから、リバプールとユルゲン・クロップ監督の今シーズンは大成功といって差し支えない。
「この人事は明らかに失敗だ」と全否定
ドイツ人の情熱家がリバプールに着任した2015年10月、周囲の反応は冷ややかだった。
「選手としてはパッとしなかった」
「マインツやドルトムントで成功したといっても、バイエルンのような名門を率いていたわけではない」
「この人事は明らかに失敗だ」
全否定である。
「我々は疑いを抱く者から信じる者に変わらなくてはいけない」との発言でサポーターの心を鷲づかみにしたが、メディアは歓迎しなかった。
リバプールをよく知るドイツ人のディトマール・ハマンが「再建には打ってつけの人材」と絶賛しても、OBたちはクロップを歓迎しなかった。実績や知名度、ヒエラルキーばかり重視する名門にありがちな、歪んだ感覚ともいうべきか。
当時のリバプールは落ち込んでいた。最終盤まで優勝争いに絡めるシーズンは少なく、キャプテンでありアイコンでもあったスティーブン・ジェラードがMLSのロサンゼルス・ギャラクシーに移籍。得点源のルイス・スアレスはバルセロナに新天地を求め、下部組織の若手もなかなか育っていなかった。
マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、チェルシーだけではなく、『アブダビ・ユナイテッド・グループ』の莫大な投資によって急速に力をつけたシティも、リバプールとの差を広げていた。