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イニエスタが「うつ病」で苦しんだ日々「私はサッカーのやり方を忘れてしまったように…」最悪の時期からどうやって回復したのか

posted2022/06/05 17:02

 
イニエスタが「うつ病」で苦しんだ日々「私はサッカーのやり方を忘れてしまったように…」最悪の時期からどうやって回復したのか<Number Web> photograph by JMPA

2010年南アフリカW杯でのイニエスタ

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アンドレス・イニエスタ

アンドレス・イニエスタAndres Iniesta

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JMPA

Jリーグ、日本生活が5年目を迎えたアンドレス・イニエスタ。偉大な名手のインタビューと著書『イニエスタ・ジャパン!』の一部転載を配信します(全3回/#1#2も)

<うつ病~二人のアンドレス 私の回復はまさに総力戦でした。>

 2009年5月から始まった“嵐”で、私はとにかく元気がありませんでした。

 ケガが原因ではないのに。そして、そのことが私を苦しめていました。ひとつのケガから回復し、「そろそろ万全な状態かな」と思った矢先、また次のケガをしてしまったのです。

モヤモヤとした心のままのアンドレスが

 あの頃、私は毎月のように体を痛めていました。満足に練習できず、試合にも出られなくなり、自分の体に対する自信が崩れていきました。納得できるような医学的説明は聞けず、ちょっとしたことで肉離れをするようになっていました。

 何人もの医師に診断してもらっても、サッカーができなくなるような筋肉の損傷を防ぐ策は見つかりませんでした。私は立ち上がれず、崩れ落ちていました。そうしたことは、すべて黒くて厚いマントに覆われた内側で起こっていました。外からは決して覗かれないところで。

 観衆からは、ケガに苦しんでいるだけに見えたことでしょう。しかし、実際はそれ以上の心配事が進んでいました。選手としての私は、もともと外部に対して閉鎖的だったかもしれません。さらに、そのときは理屈や科学では解明できない何かを抱え、モヤモヤとした心のままのアンドレスがいました。

 普通に考えればもっと高い位置にいてもいいはずのときに、一気に下降線を辿ってしまったことに混乱していました。そんな私に、診察室の扉を開き、迎え入れてくれた心理学者のインマ・プッチが教えてくれました。

「輝かしい瞬間や強烈なできごとの後に、空虚感、わかりやすく言えば“落ち込み”を感じることは珍しいことではありません。何ヶ月もの間、強い気持ちを持ち続けて準備した結果、目指していた目標を達成できた後、ある種の虚しさを感じることはよくあることです」

「うつ病に原因が必要であるかのように」

 このとき、二人のアンドレスがいたのです。

 共存していました。いままで感じることもなかった“何か”。寂しさ、それに対する理解不足。それから何日も、何週間も私はインマを訪ねました。専門家のところへ行く、簡単なただそのことだけが、私を変えました。

「健康上の問題、仕事上の問題、金銭的な問題……人が何か深刻な問題を抱えている場合、落ち込むことは当然です」

 インマは続けて言いました。

【次ページ】 サッカーのやり方を忘れてしまったように感じていました

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