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サッカーには「スカウトの目にはパッとしないが、データ分析すると名選手」がいる？ リバプールの「ゴール貢献度を測る魔法の計算式」とは
posted2022/04/05 17:02
ハル・シティ時代、マネのドリブルを阻むロバートソン
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
選手の質、指揮官の戦術、熱狂的ファンの後押し……。リバプールが躍進を遂げた理由は、これだけじゃない。軽視されがちなセットプレーから毎日の食事まで。緻密に計算された最強クラブ構築への独自の戦略とは。CL制覇を狙うプレミアの名門リバプール。Number1021号『不死鳥リバプール大研究』（2021年2月18日発売）より「リバプールを変えた最強のメソッド 栄養管理／スローイン／データ分析」を配信します（全3回/#1、#2も）。
リバプールには秘密のベールに包まれた頭脳集団がいる。元物理学者のイアン・グラハム率いるリサーチ部門だ。この選手発掘＆評価を行う部門には、天体物理学の博士号を持つワスケットや金融数学の修士号を持つスティーレなど理系人材が集結。確率モデルを駆使してサッカー版「マネーボール」を実現しようとしている。
彼らに発掘された代表例が、左サイドバックのアンドリュー・ロバートソンだ。2017年夏、当時プレーしていたハル・シティは2部に落ちたにも関わらず、800万ポンドでリバプールに引き抜かれた。
スカウトの目にはパッとしないのに、データでは輝く選手が
グラハムは「Freakonomics」のポッドキャストで秘話を明かした。
「スカウトの目にはパッとしないのに、データでは輝いている選手がいる。それがロバートソンだった。私たちは選手の各アクションが、ゴールにどう貢献したかを計算した」
従来のデータ分析では、パス成功率やセカンドボール奪取率など特定のプレーの成功率が扱われてきた。
「しかし、それだとサッカーを正しく解釈できない。なぜなら一発のビッグプレーが得点を生むことがあるからだ。私が最も好きなのは相手の裏を取るパス。成功率が低くても、裏へパスを数本通せたら最高のパッサーだ」
では、どうしたらゴール貢献度を計算できるのか？ ゴール＝ポゼッション×シュートと分解すれば、ポゼッションへの貢献度を考えればいいことになる。
