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ジェラードが語る17年前のCL決勝…リバプール“奇跡の大逆転”はなぜ起きた?「前半はミランに太刀打ちできなかった」「一番の勝因は…」
text by
サイモン・マロックSimon Mullock
photograph byGetty Images
posted2022/05/26 17:00
リバプールがACミラン相手に大逆転勝利を収めた2004-05シーズン・UEFAチャンピオンズリーグの決勝。スティーブン・ジェラードが振り返る舞台裏とは
迎えた決勝…明かした「一番の勝因」
――チェルシーとの準決勝も接戦だった。
「試合が始まる前は、チェルシーの方が勝ちそうだって言われていたんだ。モウリーニョは前の年、ポルトでCLのタイトルを取ったばかりだったし、プレミアでも圧倒的な強さを発揮していたからね。
でも僕たちは、アンフィールドでのセカンドレグを1-0で勝ちきった。多分、チェルシー側は、ルイス・ガルシアのシュートはラインを越えていなかったと、今でも言うだろうけど(笑)。
とにかく今振り返ってみると、信じられないような試合が続いた印象が強い。そういう意味では、CLの優勝が運命づけられていた感じさえするよ」
――そして迎えたのがミランとの決勝戦だ。ずばり勝因はどこにあったと思う?
「あれから12年近く経っても、実際に何が起きたのかは、うまく説明できないんだ。
ベニテス監督が、ハーフタイムにシステムを変えたこと、後半が始まってすぐに、僕がゴールを決めて試合の流れが変わり始めたこと、シャビ・アロンソが、一旦はPKを止められたのに落ち着いて反応したこと、延長戦でGKのデュデクが、シェフチェンコのシュートを、信じられないようなセービングで防いだこと……あまりに多くの要素が絡んでいるからね。
でも一番の勝因は、やっぱりプライドだったという気がするな。正直、前半はミランに太刀打ちできなかったし、大人と子供の戦いのようだった。だからハーフタイムの時は、誰もが浮足立っていたんだけど、イスタンブールまできてくれた何千人ものサポーターの姿を見て、恥をかかせるわけにはいかないと思ったんだ。
そう、勝因としてはサポーターの存在も間違いなく大きかった。後半、ピッチに出てきたときに、全員が立ち上がって『You'll never walk alone』を大合唱してくれたんだよ。あれには本当に感動した。こんな試合になっても、僕たちを見捨てずに応援し続けてくれていたんだから」
――気持ちの勝利だったと。ではベニテス監督の戦術変更は、具体的にどんな効果をもたらしたんだろう。