決勝までも「信じられないような逆転劇があった」

「そう。僕はいくつものタイトルを取ったけど、リバプールのファンが今でも話題にするのは、やっぱりCL優勝のことなんだ。ファンはあの試合を『イスタンブールの奇跡』と呼んでるし、映画化されたり、歌や演劇にまでなった。

　審判が最後のホイッスルを吹いた瞬間は、これはすごいことを成し遂げたぞってゾクゾクしたよ。でも同時に、すごくホッとしたのも覚えている。昔、リバプールは、ヨーロッパの大会で何度も優勝していた。その重みがわかっていたからね。

　僕自身、子供の頃に父親から、歴代のキャプテンが、トロフィーを掲げた瞬間の話を何度も聞かされて育ってきた。それだけになおさら感動したよ。本当のことを言うと、ホテルに帰った後は、ビッグイヤーを自分の部屋に置いて眠ったんだ。誰にも渡したくなくてね」

――あの年のリバプールは、プレミアで5位だったし、CLでも途中まで苦戦している。どこで流れが変わったんだろう？

「まずプレミアに関して言えば、ベニテス監督が就任した1年目で、チームを立て直している最中だったんだ。

　それにCLのような大会では、必ずしも一番いいチームが勝つとは限らない。

　現にあの年は、ファイナルにたどり着くまでにも、信じられないような逆転劇があった。リバプールのファン以外は覚えていないと思うけど、グループステージではモナコが1位になっている。リバプールが決勝トーナメントに勝ち進むためには、アンフィールドの最終戦で、オリンピアコスに絶対勝たなければならなくなったんだ。

　ところがリバウドに、いきなりゴールを決められてね。あの時は、もう終わりかと思ったよ。アウェーの試合は0－1で負けていたから、何が何でも3点取らなければならなくなったんだ。

　でもシナマ・ポンゴルとニール・メラーが得点を決め、最後の最後、終了直前に僕が3点目をもぎ取った。そこからチームの快進撃が始まったんだ。多分、オリンピアコス戦のゴールは、自分がアンフィールドで決めた多くのゴールの中で、いちばん重要なものだったと思う」

CL決勝前、ジェラードらと話すベニテス監督 ©Getty Images

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