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「トミを見たか? クリロナが警告を…」あのユングベリが冨安健洋の復帰戦で歓喜したワケ《ベルカンプ、アンリら無敵アーセナルOBも》
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by James Williamson/Getty Images
posted2022/04/30 17:04
マンチェスター・ユナイテッド戦で復帰した冨安健洋。アーセナルのレジェンドも喜んでいた
現役時代はアーセナルの主力として2003ー04シーズンの国内リーグ無敗優勝に貢献。その後はウェストハム、セルティック、清水エスパルスなどに所属したのち、引退後は指導者の道に進んだ。2016年からアーセナルの下部組織でコーチを務め、U-15やU-23チームを担当した。
それから3年後の2019年にトップチームに昇格し、コーチとしてウナイ・エメリ前監督(現ビジャレアル監督)を支えた。同年11月にエメリ監督が解任されると、ミケル・アルテタ監督にバトンを渡すまで暫定監督を務めた。とにかく、アーセナル愛の深い人物だ。
そんなレジェンドに話をうかがう機会に恵まれた。
筆者が「トミが復帰しました」と質問をぶつけると、ユングベリは柔和な笑みを浮かべ「本当によかった。まずは復帰おめでとうと伝えたい」と語った。そして、マンチェスター・U戦の冨安について次のように言葉をつないだ。
「長期間離脱していたが、チームにとってシーズン終盤の大事な時期に復帰してくれたのは大きい。トミヤスが最初にボールに絡んだシーンを見たか? スピードに乗った攻撃参加に、C・ロナウドはファウルで止めざるをえず、警告を受けた。出番は短かったが、復帰直後とは思えないほど動きが鋭かった」
暫定監督時代のスーツ姿ではなく、カジュアルな服に身を包んでいたユングベリの言葉は、冨安の加入効果に及んだ。
「アーセナルにとって素晴らしい補強になったと思う。ここまで、トミヤスに対する印象は非常に良い。高さがあって、フィジカルプレーにも強い。チームのボール保持時には確かなテクニックで力になっている。加入直後の試合では、冨安は右サイドバックながら(試合中に)中央にポジションを移し、(本来の)4バックから3バックの形になる難しい役割をこなしていた。ミケル(アルテタ監督)の戦術にもフィットしている」
最近の若い選手は、我々とは…私はまるで恐竜だ
ユングベリとの会話で最も印象に残ったのは、古巣のアーセナルが復活の兆しを見せていることに、何よりも嬉しそうな表情を浮かべていたことだ。「良い試合だったし、良いパフォーマンスだった」と宿敵マンチェスター・Uを下したことに笑みをこぼしていた。