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ブッフォン「愚痴りたいことがある」
届かなかったCL決勝、魔物の正体。
posted2017/06/06 11:10
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
チャンピオンズリーグの決勝戦には“魔物”が舞い降りるらしい。それが広大な欧州のどこであっても。
3日、カーディフで行われた決戦はレアル・マドリーが4-1でユベントスを下し、CL史上初の大会2連覇を果たして幕を閉じた。
「表には出さなくとも、私にも内に秘めた炎がある。昨晩は一晩中眠れなかったが、今はたまらなく嬉しい」
レアルを率いて2年目の監督ジダンは、白銀の優勝トロフィーを再び手にした。もはや彼の手腕を疑問視する人間はいない。
歓喜に酔いしれるレアルの選手たちと、呆然としたままのユーベの面々。紙吹雪舞う表彰セレモニーを見届けて、決勝戦の“魔物”はどこかへ飛び去った。
ロナウドの先制点は、「不運な偶発的プレー」だった。
決勝を前に実力伯仲の接戦を予想する向きは多く、前半の45分間に限っていえば、それは当たっていた。
MFイスコをトップ下に置く4-3-1-2のレアルに対し、対CL用攻撃的布陣4-2-3-1で臨んだユーベは、試合の立ち上がりから現王者と真正面からぶつかった。
20分に、カウンターからFWロナウドに奪われたレアルの先制点も、ユーベ側に言わせれば「不運な偶発的プレー」だった。SBカルバハルの右クロスにダイレクトで合わせたロナウドのシュートが枠内を捉えていたのも事実なら、ユーベDFボヌッチの出した右足に当ってコースが微妙に変わり、GKブッフォンの反応がコンマ数秒遅れたのも事実だ。
2年前の決勝でバルセロナに完敗を喫したユベントスが、今回の決勝戦にかける意気込みは相当に強かった。
ロナウドの先制点から7分後、ユーベは同点に追いつく。MFマンジュキッチのオーバーヘッド・シュートが、レアルGKナバスの伸ばした手を越えてゴールネットに収まった。冷静なアシストを決めたのは、4年前にレアルを飛び出したFWイグアインだった。