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高卒→ドイツ移籍…18歳DFチェイス・アンリのアドバンテージとは? 日本語を話せなかった少年が6年間で遂げた成長
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2022/04/15 11:04
ブンデスリーガのシュツットガルトへの加入を発表したDFチェイス・アンリ。尚志高校での会見に出席し、まずはU-21チームでのプレーとなることを報告した
シュツットガルトでの道のりは平坦なものではない。契約は7月からのため、4月中旬にはドイツに渡り、現地で自主トレに励む。スタートはU-21チームとなった。しかし、プロ契約を結んだことで、プレーが評価されればすぐにトップチームでのプレーも可能だ。
それにシュツットガルトのキャプテンは日本代表の遠藤航がつとめており、また昨年夏にアンリと同じU-21チームへ加入を発表した伊藤洋輝(22歳)は、すぐに評価を高めて現在はトップチームのDFラインで活躍中。伊藤の市場価値はわずか半年で数倍に跳ね上がっているだけに、アンリも後に続きたいところだ。スベン・ミスリンタートSDは現在地をこう述べた。
「日本人選手は本当に毎日一生懸命練習するし、テクニカルスキルが高い。アンリ選手も同じ姿勢を持っていて、サイズも技術もある。これから成長するために必要な全ての基本の部分を持っているので、18歳の年代では一番上のランクに入っている選手だと思います」
長年、日本代表の最終ラインを牽引している吉田麻也と共にコンビを組む冨安は、10代で代表デビューを果たし、今や不動の地位を築いている。アンリが目指すのは、その隣だ。
「これまでも自分より上がいて当たり前の世界にいました。アメリカでバスケットをやった時も、自分より身体能力の高い選手がたくさんいて、当たりもすごいし、うまい。そんな遊びの中でも『絶対に当たり負けしない』と思ってやっていたし、負けず嫌いの気持ちはずっと養ってきました。お父さんからもらった身体能力に甘えずにこれからも技術を磨き続けたい」
過信することなく、成長を誓う18歳は最後にでっかい夢をぶち上げた。
「僕の理想像であるファンダイク選手(リバプール/オランダ代表)を超えたい。夢はチャンピオンズリーグ優勝です」
夢は大きくていい。チェイス・アンリのサクセスストーリーはまだ序章に過ぎない。
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