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内田篤人も驚く“とんでもない化け物”17歳チェイス・アンリ(尚志高)が秘めるデカすぎる可能性「バックボーンを誇りに思っている」
posted2021/11/10 11:01
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
日本サッカーにおいて、イングランドの名門・アーセナルでサイドバックながらレギュラーを張り、日本代表では待望の若手CBとして活躍する冨安健洋の存在は、大きな光となっていると言っても過言ではない。
CBというポジションは、技術やフィジカルだけでなく、経験値が物を言う役職である。寿命の短いサッカー選手人生の中で、フィールドプレーヤーとして長くプレーができるポジションとも取れるが、それは裏を返せば、若手が正ポジションを掴むことがいかに難しいかということも示している。
かつては井原正巳が「アジアの壁」として長く君臨し、そのバトンを継いだ宮本恒靖、中澤佑二、吉田麻也が、フランスW杯から続く日本代表の最終ラインの歴史を支えてきた。そして、ベテランの域に差し掛かった吉田の後を継ぐ選手の台頭が待たれていた中で、23歳の冨安が頭角を現した。
そんな冨安の後を追うように、今、新たな「壁」として期待されるニューフェイスが福島で誕生しつつある。強豪・尚志高校でプレーをするDFチェイス・アンリ、高校3年生だ。
内田コーチ「とんでもない化け物です」
アメリカ人の父と日本人の母を持つ彼は、187cmの高さとフィジカルの強さを備えながらも、スピード、アジリティー、細かいステップと、身体操作に長けているのが一番の特徴と言える。先月には“飛び級”で招集されたU-22日本代表の一員としてAFC U-23アジアカップウズベキスタン2022予選に出場し、初戦のカンボジア戦にスタメン出場。高校生とは思えない堂々たるプレーを見せた。
同代表で「ロールモデルコーチ」を務める内田篤人氏は、自身がMCを務める番組でアンリをこう評した。
「後ろの4枚で、センターバックで、ミスはできないし、それを押してでも彼を招集して、1発目の試合で使うというのは、とんでもない化け物です」
獰猛に相手に体を寄せてボールを奪い切ると思いきや、時には冷静に距離を置いておびき寄せてからボールを奪い取る、といった頭脳的な駆け引きもできる。カバーリングのスピード、背走からのボール奪取は高校生とは思えない強度だった。フィードも長短のキックを得意とし、最終ラインから前線へくさびの縦パスや裏を通すパスを繰り出していく。将来的に冨安の隣に並べるような、まさに“化け物”級のCBと言えるだろう。
さらに特筆すべきは、アンリは2004年3月24日生まれ、つまり早生まれということにある。現在高校3年生だが、4月生まれの同級生と比べるとほぼ1年の差がある。“ほぼ高2”の段階でこれだけのレベルでプレーできるということからも、大きなポテンシャルを感じざるを得ない。