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岡田武史「批判する人は成長しない」「(カズ落選に)逃げ隠れする気はない」“解任論のバッシング→W杯16強”勝負師の率直発言
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/03/29 11:04
南アフリカW杯予選の日本代表を率いた頃の岡田武史。2度W杯へと導いた指揮官は、彼しかいない
国内組中心で臨んだ東アジア選手権で韓国に1-3と完敗し、4月と5月の親善試合でもセルビアに0-3、韓国に0-2と連敗。親善試合の間にはサポーターが日本サッカー協会に“解任署名”を提出するなど、大逆風に巻き込まれた。
直前のイングランド戦、コートジボワール戦でも連敗した岡田ジャパンだが……本番では本田圭佑のセンターフォワード起用を筆頭に、守備に力点を置いた4-3-3システムが機能し、自国開催以外では初となる決勝トーナメント進出を果たしたのだった。
冒頭の言葉はW杯予選を戦い終えた後の岡田の言葉である。なお、カタールW杯出場を決めたオーストラリア戦後、岡田がDAZNの配信で興味深い言葉を口にしていた。
「成長する時は、やっぱり困難や失敗の後なんですよ。批判は成長させてくれるんですよ。でも面白いことに、批判する人は成長しない。だから森保に言ったんだ。自分の成長を投げうってまで、その人は自分を成長させてくれる、ありがたいことなんだと」
批判を受けても、自分が指導者として飛躍するきっかけ、と言い切れるメンタリティ。日本中から厳しい目を向けられるような状況でも指揮を執るには、岡田のような度量と胆力が必要なのだろう。
戦術論が花盛りでしょ。ああいうのは嫌いだよ。でも……
<名言3>
今のサッカー界って戦術論が花盛りでしょ。ああいうのは嫌いだよ。でも根性論だけでも勝てないし、やっぱり両方必要だとは思ってる。
(岡田武史/Number625号 2005年4月7日発売)
◇解説◇
日本代表監督第1期と第2期の中間で、岡田はコンサドーレ札幌、横浜F・マリノスとJリーグの舞台で指揮を執り、マリノス時代にはJ1連覇を達成するなど、さすがの手腕を発揮した。
「監督としてサッカー全般に臨む姿勢はやっぱりロジックでいくんだけど、勝負事っていうのはパーフェクトなロジック、パーフェクトな試合をしても1本のシュートで負けることもある。ある意味どうしようもないところがあるわけでね。それを受け入れられるようになってきたね。前はそれを理詰めに追究しなければ気がすまなかった。でも、追究すればするほど逆に変な穴にはまっていくこともあるわけで。どっかで切り上げないとしょうがない」
この当時から、岡田はロジカルとエモーショナルのバランスが大切だと説いていた。
「フランスW杯のころはそういうのが許せなかったし、要するにハンドルに遊びがなかったような状態だった」
このときの反省が、その後の指導者人生で活きたのだ。