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オナイウ阿道に学ぶ“新生活の心得”「Look at me!」と「シルエットはかせ」で馴染んだフランスリーグ、大迫との比較にもブレない俺流
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byGetty Images
posted2022/03/06 11:01
昨夏に仏2部トゥールーズに加入後、すぐにチームに馴染んだFWオナイウ阿道(写真は21年9月)。公式戦10ゴールをマーク(3月4日時点)
自分を信じる姿勢は、日本代表のシャツを着ても同じだ。
昨年9月、W杯アジア最終予選を戦う日本代表に追加招集された。オマーンとの大事な初戦でまさかの敗北。南野拓実の負傷離脱によって、背番号は10。そんな緊張感マックスの状況での合流にも関わらず、肩の力を抜いて「僕はスーパースターとして来ているわけではない。僕1人でどうにかなると思っていないし、絶対に勝たせられるわけでもないので、まずはチームとして絶対に勝つことを意識しながら、そこに貢献できるようにという思いで来ました」と話す姿が印象的だった。
「長く代表でプレーする選手は、よりW杯出場への重圧と責任を感じています。初戦の負けを受けて、ピリピリしたり、緊張感が高まるのは当然です。でも、そこに経験の少ない僕が合流して、同じように硬くなるのはチームにとってマイナスでしかない。僕は周りの人に遠慮したり、流されるのは好きじゃありません。もちろん日本代表にとって大事な時期であることは理解した上で、いつもどおり、自分のプレーを出すことに集中して過ごしていました」
最前線のポジションでプレーするオナイウが日本代表に合流すれば、取材現場で必ず質問されることがある。大迫勇也との比較だ。そんなときも、オナイウは自然体で、“俺流”を貫く。
「今から僕がサコ君(大迫)を真似しようと思っても、無理でしょうね(笑)。素晴らしい選手ですし、もちろんリスペクトしています。ただ、サコ君がいないと日本代表が機能しないということではいけないですし、試合に出た選手の良さが、チームの強みになるべきだと思います。代表に合流したからと言って、自分の良さは絶対に消しちゃいけない。どの選手も、クラブで自分だけの良さを発揮しているからこそ、代表に呼ばれているはずですから。クラブでやってきたことを変えて、誰かの真似をする必要はない。その上で競争に勝って、監督の信頼を得たいですね」
慣れない環境でも誰かの物真似をするのではなく、自分を信じて、自分らしく取り組んでみる。これはサッカー選手に限らず、進学先でも、就職先でも、転職先でも通用する考え方かもしれない。
もしも新生活で困ったら、フランスでゴールを量産するオナイウ阿道のプレーを見てみよう。笑顔のシルエットはかせポーズに、きっと迷いも吹っ飛ぶ!?
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。