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ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「私を求めるクラブはないのか」80歳のオシムが意気軒昂に語る指導者への情熱「監督が走る必要はない」
posted2022/03/04 11:01
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
AFLO
イビチャ・オシムインタビューの後編である。
彼の自宅に電話をかけたのは、金曜も土曜(2月25・26日)もヨーロッパ時間での午後3時過ぎだった。いくら朝が遅いオシムとはいえ、さすがにその時間なら食事も終えて一息ついているころだろうと思ってのことだった。実際、金曜は食事の後外出して不在だった。ところが本人と話が出来た土曜は……。
個人的な話をすれば、筆者(田村)も朝は遅い。だが、いくら宵っ張りとはいえ朝食が午後3時になることはまずない。午後2時や3時キックオフの試合に寝坊で遅れても、12時前後には少なくとも起きてはいる。
金曜のほぼ同じ時刻にかけた電話では、オシムは外出した直後だった。だから土曜も、食事を済ませたちょうどいい時刻か、あるいは食事後の午睡に入ってしまいまた話せないのか……。そのどちらかだろうと思っていた。結果として、アシマ夫人から電話をかけたのが食事をするまさに直前だったと知らされて驚いた。
マイペースなオシムの世界への懸念
ただ、それもオシムらしいと思った。他人を気にすることのないマイペース。彼にはそれが許され、なおかつマイペースでいながら人々から敬意を受けている。それだけの人としての大きさがオシムにはある。
それではオシムの語るウクライナ情勢とは……。オシム自身が、情報が不足しており的確な判断ができないことを告白している。それでもなお彼の言葉に耳を傾ける価値があることを、このインタビューからわかっていただけると思う。(全2回の2回目/#1から続く)
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「それで君はつつがなくやっているのか?」
――まあまあという感じです。コロナはまだ蔓延していますが……。
「病気になったりはしないのか?」
――おかげ様でさほどひどい病気はありません。