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「まるで刑務所」地獄のPL寮生活、立浪和義を奮い立たせた先輩・清原和博の言葉《8年ぶりキャンプ訪問&人命救助も》
posted2022/03/01 11:01
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Katsuro Okazawa/AFLO
プロ野球の春季キャンプたけなわの2月23日、那覇市内で交通事故が発生した。沖縄県警の発表や新聞各社の報道によると、現場は明治橋交差点付近。巨人のキャンプ地・セルラースタジアムからは目と鼻の先である。50代の男性が乗っていた電動バイクと、女性が運転する小型乗用車が衝突。倒れた男性は、そのまま交差点内に取り残される形となってしまった。
現場の国道58号線は交通量が多い上に、当日は風雨も強かった。多重事故にもつながりかねない状況を救ったのは後続車両の男性だった。すぐに降りて、自力で歩行ができなかった男性を安全な場所に運び、周囲に飛び散っていたバイクの部品や破片も素早く片付けた。その男性は震えていた女性運転手も励まし、バイクの男性が救急車で搬送されるところを見届けてから現場を去ったという。
幸いなことに命に別状はなく、現場周辺の交通にも大きな影響は出なかった。そして、この「あっぱれな男性」の勇敢な行動は、すぐに知れ渡った。奮闘するスウェット姿の大男が誰なのか。一目で理解した目撃者たちが、SNSで発信。瞬く間に拡散されたからだ。
8年ぶりだった清原氏のキャンプ訪問
西武、巨人、オリックスに在籍し、通算525本塁打は歴代5位。清原和博さんである。報道によると、清原さんは「やるべきことをやっただけです」と話している。ところで、なぜ清原さんは沖縄にいたのか。それは前日の22日から中日のキャンプ取材を行っていたからだ。22日は北谷町の一軍を、そして23日は事故遭遇後に読谷村に向かい、二軍キャンプを視察、取材している。立浪和義、片岡篤史の両監督は、PL学園の2学年後輩にあたる。
わずかな滞在時間ではあったが、3年目でレギュラー定着の期待がかかる石川昂弥(たかや)や、ルーキーながら大砲候補との呼び声高い鵜飼航丞(うかい・こうすけ)らに助言、指導した。清原さんがプロ野球のキャンプ地を訪れるのは、実に8年ぶりだった。なぜ遠ざかっていたのか、表舞台から消えていたのかは、改めて書く必要はないだろう。