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高梨沙羅いわく小林陵侑は「天才。私と真逆」 LINEで祝福とスタンプ、涙の失格とハグ…“25歳同い年”の優しくて美しい関係性
posted2022/02/16 17:00
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph by
JIJI PRESS
北京五輪のノーマルヒルで金、ラージヒルでは銀メダルに輝いた小林陵侑。個人2種目ともにメダルを取ったのは、世界に誇る日本のエースだけだった。完成度の高い技術と、どんなジャンプ台の癖もすぐにつかんでしまう才能がかみ合い、日本ジャンプ界としても1998年長野五輪以来、24年ぶりの金メダルとなった。
ジャンプ競技の最終日となった2月14日。本場欧州のワールドカップ(W杯)でもめったにない気温マイナス22度近くという極寒の中、小林は団体戦の最終4番手として孤軍奮闘した。それでも、チームはメダル争いができず5位に。競技後、しばらくして取材エリアに来た小林は、普段通りのクールさを保ったまま団体の出来を振り返った。
悔しさが残る団体と、会心だった個人ノーマルヒル1本目
「チームとしてはすごく悔しい結果になってしまったので、みんなそれぞれ悔しいと思っていますし、それはいいことかなと思います。(自分のジャンプは)1本目は少しタイミングが遅れてしまって、2本目はすごくいい感じで飛べたと思います」
小林は1本目で134メートルまで伸ばし、各国のエース級がそろう4番手の中で2位の高得点だった。それでも踏み切るタイミングが遅れていたというのだから、恐ろしいほどの地力の高さだ。132.5メートルを飛んだ2本目は、4番手の中でトップの得点だった。
北京五輪で思い出に残ったジャンプは、何か。小林は「う~ん……」と少し考えた後、ノーマルヒルの金メダルを大きく引き寄せた飛躍を挙げた。
「やっぱり個人戦の1本目。ビッグジャンプでテレマークも決まったので、すごくうれしかったです」
4年前の平昌五輪は力をほぼ出し切りながら、ノーマルヒルは7位、ラージヒルは10位だった。あれから4年。急成長を遂げた小林は、選手の誰もが憧れる伝統のジャンプ週間で2度も総合優勝を果たし、2018~19年にはW杯総合王者に輝いた。今季もW杯最多7勝を挙げて乗り込んだ五輪の舞台で、その実力を存分に示した。
小林は高梨を慰め、肩を優しく引き寄せた
小林にとっては、壮大な夢に一歩近づく大舞台だったと言えるかもしれない。