中野　いや、面接を一緒に待っている子も緊張されていたせいか、全然私に気づいてくれないっていう（笑）。

――え！　中野さんだと気づかない。

中野　そう。でも中野とは言わずに「何かスポーツをやっていたんですか」と聞かれて、「フィギュアスケートです」と答えたら、「それっぽいですね！」とか言われて（笑）。面白かったです。ああ私はそんなものか、みたいな。

――試験を受けたのはマスコミに絞って、ですか？

中野　フジテレビだけです。世界選手権と全日本選手権の放送権を持っていたのがフジテレビだったので。できれば社会人になってもスケートの仕事をしたいなと思っていました。それと、現役時代は毎朝5時に起きていたんですけど、その時にいつも見ていたのが『めざにゅ～』だったんです。そこで漠然と、いつかこの人たちと一緒に仕事がしたいなと思っていました。

――なかなかテレビ局に入るのも難しいですよね。1本に絞ったうえで、すごいですね。

中野　でも入ってからが大事ですよね。入社1年目はプライドが邪魔をして、そのプライドがズタズタにされていく日々でした（笑）。

社会人になって1年「プライドが崩れ落ちて変わった」

――プライドがズタズタにされていく、ですか。

中野　最初は要領が悪いし、仕事の仕方もわからないし、指示されていることも理解できなくて、怒られまくる。私が大きい態度をするから怒られたのもあったと思います（笑）。とにかく記憶がないぐらいよく怒られましたね。メールの出し方ひとつとっても、言葉遣いがおかしいとか。

――大きい態度というのは、私はあの中野友加里よ、みたいな気持ちですか？

中野　そんな思い上がりがあったらボコボコにされます（笑）。対外的には名前を知ってもらっていて仕事をしやすい面もありましたが、逆に中野友加里ってスケートしかできないな、と思われるケースもあるので。それでも、会社は特別扱いせず、上手に育ててくれました。

　社会人になって出会った主人に聞くと、「スケートをやっている時に結婚することはなかっただろうな」と言われます。気が強そうというか、プライドが高そうだし、と。

クールな印象もあった現役時代の中野さん（写真は2005年撮影）　©Takuya Sugiyama

――そういう感想なんですね。逆に言うと、引退後の印象は違ったと。

中野　社会人になって、色々と刺激を受けて、プライドが崩れ落ちて変わったんじゃないかなと思います。ジャガイモでいうとピーラーで皮をそぎ落とされたような（笑）。多少なりとも丸くなったんじゃないでしょうか。

――スケートの世界にとどまっていたら知らなかったことも色々ありそうですね。

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