それはまさに細部の細部まで突き詰めた技術だった。体格で勝りハイレベルな技術も身につける選手たちに対抗するには、自身のジャンプを精緻に磨き上げ、それをミスなく実行できるところまでたどり着かなければならない。そんな緊張が常にあった。

　追う立場であり、追われる立場でもある難しさの中で、戦っていた。

体格で優るライバルたちに対抗するため「ゼロから作り変えた」高梨のジャンプ　©JMPA

「もう私の出る幕ではないのかも…」

「毎試合というか、オリンピックの試合の中で、強い選手の方々が出てきていて。その中で戦えていることにすごく幸せな気持ちもあります。実際ここに今日立つことができなかった選手もいます。こうやって試合に出させてもらえたことがすごくうれしいことでもあるんですけど、結果を受け入れているので、もう私の出る幕ではないのかもしれないなという気持ちもあります」

　おそらくはクラマーを思っての言葉に加え、偽らざる心情を語った。

　高梨の4年間をかけた挑戦は、ひとまず4位という数字となって表れた。それが高梨の望んでいた結果ではなくても、どこまでも真摯に歩んできた挑戦の価値は、見届けた人たちにもきっと届いている。

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