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「私の頑張りは足りなかったんだと思います」“身長152cm”の高梨沙羅が世界と戦うために「すべてをゼロから作り変えた」挑戦の軌跡
posted2022/02/06 17:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JMPA
2月5日、ノルディックスキー・女子ジャンプノーマルヒルが行なわれた。
高梨沙羅は4位入賞という成績を残した。
試合のあと、痛切な言葉が続いた。
「今、すごくいろいろな感情がこみ上げてきているんですけど、ひとつ言えるとするなら、この4年間で本当にたくさんの方々に支えていただけて、サポートいただいてジャンプをすることができていたので。結果で恩返しができなかったのがいちばん悔やまれます」
「この4年間はすごくいろいろなことがあって、よいときも悪いときもあったんですけど、私は頑張って当たり前だったと思います。ただやっぱり、頑張っても結果を残せなかったら意味がないので、私の頑張りは足りなかったんだと思います」
4位という結果は「まさか」ではなかった
試合が近づくにつれ、高梨をめぐるニュースでは、ある言葉が目につくようになっていった。
「金メダルへ」「金メダルなるか」……。高梨自身、金メダル獲得を目標に掲げていた。それを受けてのことだから、自然ではあるかもしれない。そこには期待も込められていただろう。そして結果は4位だった。ただ、4位に対して「まさか」とするのは違和感を覚える。
ひとつには今シーズンの成績がある。ワールドカップのランキングで言えば6位。1位のマリタ・クラマー(オーストリア)が新型コロナウイルス陽性により欠場となったことを踏まえても、5位で迎えたオリンピックだった。その点を踏まえれば、表彰台に上がらなかったことを、まさか、とは形容しがたい。
そのうえで、1本目は風の難しさもあっただろう。同時に、映像で何度か見直す限り、1本目は硬さがあった。特に踏み切りがそれを感じさせた。