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「筋トレ設備はダンベル1つも置かない」パイレーツ筒香が“私費2億円アカデミー”で“育てたい子供”とは《理想は秋山幸二のバク宙?》
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGo estudio
posted2022/01/24 11:01
「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」の「完成前報告会」でスピーチした筒香。私費2億円をかけて自らの理想を追求する
「バク転やバク宙が自在にできるような子供が、野球をやったらどれだけ上手くなるのか。アカデミーではそういうアプローチの仕方もやってみたいと思っています」
こう語る裕史さん自身も、尽誠学園高校で野球をやっていた経験がある。大学卒業後は教員免状を取得して神奈川県内の中学校で保健体育教諭を務め、橋本市に戻って2018年には幼児から小中学生を対象としたアカデミーを設立。こうした経験を生かして、筒香と相談しながら兄弟二人三脚でアカデミーの運営と子供たちの指導につなげていく事になる。
そこで裕史さんが小体育館の設備として考えているのが、鉄棒や跳び箱などの体操器具なのだという。一見、野球には結びつかないかもしれないが、スポーツとは根っこでどの競技にもつながっている。
子供たちが楽しく、そして未来につなげられるような施設に
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それはやはり筒香が指摘するように、いかに自分の思っている通りに自分の身体を使い、どれだけ自分の体で表現できるようになるかということにつながる。そうして自在に身体を操れる感覚を身につけ、そこに必要な筋力や技術を養っていくことで、野球だけではなく、様々なスポーツの上達へのメソッドが生まれるということだ。
「アカデミーではエクササイズや、他のスポーツも取り入れ、野球に限らず、将来に役立つための基礎を作ってほしい。ここから野球を通じて将来に役立つものを学んで、スポーツだけでなく社会で活躍する。そういった部分で全ての基礎、幼少期を過ごせるアカデミーにしたいと考えています」
このアカデミーにかける筒香の願いだ。
グラウンドは天然芝にこだわったことも、小体育館に置く機器も、全ては1つの目的のためである。
子供たちが楽しく、そして未来につなげられるような施設にしたい。
そのためなら、投じる2億円という巨額な資金も、決してムダだと思わない。
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