プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「打てる訳ないよな、と自分でも…」筒香嘉智に聞く“150km以上の速球を打てない”をどう乗り越えたのか?《パイレーツで劇的復活》
posted2021/12/31 11:10
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Getty Images
大谷で明け、大谷で幕を閉じた2021年のメジャーリーグ。ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手の“リアル二刀流”での大活躍に、日本中が熱狂した1年だったが、その活躍とは別に、もう1人、どうしても今年の波瀾万丈なシーズンを語らずにはいられない選手がいる。
ピッツバーグ・パイレーツの筒香嘉智外野手である。
パイレーツでの見事な復活劇はご存じのとおりだが、それにしても筒香の今季は紆余曲折のシーズンだった。
メジャー移籍2年目の今季のスタートはタンパベイ・レイズ。
しかし極度の打撃不振で5月11日にDFAとなり、4日後の15日にはロサンゼルス・ドジャースへの移籍が発表されたが、6月9日には右ふくらはぎのケガで故障者リスト入り。同17日には3Aのオクラホマシティ・ドジャースで実戦復帰したものの、ここでもなかなか結果が残せずに、ついに7月7日にはメジャー40人枠を外れて、マイナー契約となってしまった。
「筒香は150km以上の速球を打てない」という評価
文字通りどん底に落ちたのである。
この頃の筒香には、必ずついて回った1つの評価がある。それは「筒香は150km以上の速球を打てない」というものだった。
実際問題としてメジャー移籍1年目の2020年は150km以上の速球に対しては31打数2安打の打率6分5厘で、2年目の21年もレイズでは13打数2安打の1割5分4厘という低打率に喘いでいた。
その現実を筒香自身はどう受け止めていたのだろうか?