「（高橋）藍とお前を見ていると、昔の俺と清水みたいやな」

　大先輩と崇める2人が楽しそうに、自分と同じ大学生時代に出場した2008年北京五輪やそれからの日本代表、パナソニックでの生活を語っていた。そして、何気なく清水が大塚に言った。

「できることはどんどんやったほうがいいし、すぐにでも上でやればいい。何だったら、パナでやったらええやん」

　大学在学中にVリーグでプレーすることなど考えもしなかった。大塚はそう振り返る。

「頭の中で、Vリーグは大学を卒業してから入る場所、という固定概念があったんです。でも、もし大学にいる間にVリーグでプレーできるんだったら、それはめちゃくちゃいいな、と。初めて現実的に考えるようになりました」

パナソニック、日本代表と長きにわたって切磋琢磨してきた清水と福澤（2008年）　©︎AFLO SPORT

福澤は、高橋と大塚の姿に昔の自分たちを重ね合わせながらアドバイスを送ったという　©︎YUTAKA/AFLO SPORT

名将の指導、世界的プレーヤーと対戦できる

　福澤、清水はもちろんだが、パナソニックを率いるのはフランス代表を東京五輪金メダルに導いた名将、ティリ・ロラン監督。さらにポーランド代表で主将を務めるミハウ・クビアクもいる。そこに自分が入るだけでも学ぶことは数限りなくあり、ましてや試合に出るチャンスがあれば、ウルフドッグス名古屋のバルトシュ・クレクやサントリーサンバーズのドミトリー・ムセルスキーといった世界的プレーヤーたちと対戦することができるかもしれない。

　バレーボール選手としてはもちろん、最優先すべき学業を考慮したとしても、日本でより高いレベルを経験できるなら今の自分には最適なのではないか。そう考えた。

パナソニックパンサーズの一員として、Vリーグデビューを飾った大塚　©︎Panasonic PANTHERS

「教職課程も履修しているので、どうしても抜けられない授業もあります。今はオンラインもできますが、（海外に行けば）それも限界がある。何より、最上級生になる年にチームと離れすぎてしまうのも嫌だったので、松井（泰二）先生に『挑戦できるなら、Vリーグでやってみたいです』と相談をしました。

　松井先生もアンダーカテゴリーの強化に携わっているので、『経験できるなら上のカテゴリーで経験した方がいい』と。大学やVリーグ、パナソニックの関係者も含め、実現のためにたくさんの方々が動いて下さったことに感謝しかないです」

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