1人の選手として、大学のカテゴリーに留まらず、Vリーグに挑戦する。それは自身のレベルアップやスキルアップにつながる挑戦ではあるが、大塚は次世代にもつながるチャレンジになれば、と考えている。

「僕は中学時代、パンサーズジュニアでやらせてもらっていたおかげで、バレーボールの戦術や考え方、用語を教えてもらった。アンダーカテゴリー日本代表や早稲田に入って、レベルが上がってもつまずくことがなかったんです。でも周りは必ずしもそうではなくて、高校から大学に上がった時点でシステムが加わり、求められることが高度になると個の部分でいい面を発揮できない選手も多いし、たとえば同じことを説明されたとしてもスッと入る選手と、何を言っているんだ？　と理解できずにいる選手もいるのが現実です。

　カテゴリーのトップだけでなく、指導や考え方も高校や大学へ浸透していけばもっとよくなると思うし、いいつながりもできる。今回、僕たちがこういう選択をさせてもらうことが、これからにつながって、これをきっかけに大学生も毎年Vリーグでプレーできるような環境が増えれば、もっと日本全体のバレーボールの強化、底上げにもつながると思うんです」

　次世代にも広がる可能性に胸躍らせるだけでなく、1人のバレーボール選手として、叶えたい目標もある。何しろパリ五輪は2年後に迫り、今夏はロシアで世界選手権も開催される。限られた時間に「いい意味で焦っている」と表情を引き締めた。

「ただプレーを磨くだけじゃなくて、練習や試合中の声かけ、栄養管理や一日の過ごし方。パナソニックでの時間は、バレーだけじゃなくたくさんのことを自分のものにできるチャンスだと思います。もちろんお客さんで行くつもりはないし、自分がこういう選手で、自分はこうしたいと表現して勝負したい。

　今回オリンピックに出たから次も確実に出られるなんて全然思わないし、むしろ練習してきたこと、やってきたことを出すことしかできない。自分がどういう選手になりたいかを考えて、もっと伸ばして行けるように。積極的に、貪欲にやりたいです」

バレーボールの底上げにも言及した大塚。自覚と野望を胸に、新しい挑戦が始まる　©︎Ai Hirano

　伸び盛りの21歳が、切り拓く新たな道。恐れることなかれ、壁を乗り越え、壊した先に明るい未来が広がっている。

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