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“極寒だった”プロ野球トライアウト、現地記者の本音「(元巨人・山下航汰は)こんなもんじゃない」「なぜ声を出してプレーしないの?」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2021/12/13 17:02
12月8日のプロ野球トライアウト、注目が集まった山下航汰(巨人)のシート打撃
大詰めの準決勝の2試合。
今年は、いくらか応援団もスタンドを埋めて、以前の“活気”が半分ぐらいは戻ってきている。
強打の東京ガスが、NTT東日本を突き放しにかかっている。
そういえば……と思い出していた。
ついさっき、19人目でトライアウトのマウンドに上がった榎田大樹(西武)は、もう10年も前になるが、この東京ドームのマウンドで奮投した東京ガスのエースだった。
8番目のマウンドに上がった吉田一将(オリックス)は、JR東日本のエースで久慈賞(敢闘賞)、7番目の荒西祐大(オリックス)はホンダ熊本で、12番目の石崎剛(ロッテ)は住金鹿島で、みんな、エースで花形だった快腕、剛腕たちだった。
都市対抗の決勝に進む2つのチームを決める白熱の勝負が、ちっとも頭に入ってこない。
その代わり、いつもはすっかり忘れてしまっている「栄枯盛衰」なんて言葉が、フッと頭をよぎっていった。