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フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「頼むから足を切ってくれ」EUROでもCLでも怪我に泣いたデブライネが、それでもストレスゼロで戦い続けられる理由
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/12/07 17:03
ベルギー代表でも司令塔として活躍。EURO2020では決勝トーナメント進出に貢献した(準々決勝でイタリアに敗退)
「自信を持ってプレーがしたいからそうしている。いいプレーがひとつふたつ雑作もなくできれば自信も高まる。相手は厄介な夜になるぞと思う」
――今年の春から夏にかけて、あなたは厳しい夜を2度過ごしました。5月29日のチェルシーとのCL決勝(アントニオ・リュディガーに暴力的なオブストラクションを受けて60分に負傷退場。試合も0対1で敗北)と、6月27日のポルトガルとのEUROラウンド16(1対0でベルギーの勝利だが、パリーニャに背後からタックルを受け48分に負傷退場)です。長期離脱を覚悟しましたか?
「ポルトガル戦のタックルは、受けたときはさほど酷いとは思わなかった。ところがその3日後、準々決勝のイタリア戦(7月2日、1対2で敗北)に出るかどうかを決めるまでに13時間もかかった。その後、バカンスに入って状態は良くなった。それが僕にとって新シーズンの緒戦となったトッテナム戦(8月15日、0対1の敗北)では、10分しかプレーしなかったのに翌日は歩くことができなかった。通常、僕は痛みを気にしない。でもこのときばかりは……、あまりに酷くてまるでナイフでえぐられたようだった。こう思ったね。
《頼むから足を切ってくれ。そんなに時間はかからないだろう》と。
回復には2週間かかり、9月の国際マッチデーのころにようやくよくなった」
理不尽な負傷との折り合い
――CL決勝は途中で退場し、EURO準々決勝は片脚だけでプレーしなければならなかったことに、どう折り合いをつけましたか?
「もちろんCL決勝で負けるのはいい気分じゃない。でも少し冷静に振り返れば、僕らはプレミアリーグとカラバオカップ(リーグカップ)に勝ち、FAカップは準決勝、CLは決勝まで進んだ。決して悪くはない。僕らにとってはこれがスタンダードだが、それが意味するものはちゃんと評価すべきだ」
――とはいえシーズンで最も重要な試合で、30分を残してピッチを去らねばならなかったのは辛かったのでは……。
「そのときのことはよく覚えていない。思い出すのは翌朝に目覚めたときだ。それだけだね。思ったより早く回復してEUROに出場できたのは嬉しかった。大きな目標のひとつだったからね。いいプレーができたという手応えもあった。そこであのタックルを受けて……、これで終わったと思った」
――不当な行為だとは思いませんでしたか?