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30代直前の宇佐美貴史が語る“泥臭いスライディング”の意味とヒーロー観「家長くんは凄いなと」「理想に近いのはミュラー」 

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下薗昌記

下薗昌記Masaki Shimozono

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photograph byJ.LEAGUE

posted2021/12/03 17:04

 30代直前の宇佐美貴史が語る“泥臭いスライディング”の意味とヒーロー観「家長くんは凄いなと」「理想に近いのはミュラー」<Number Web> photograph by J.LEAGUE

宇佐美貴史、最大の魅力と言えばフィニッシャーとしての才覚だ。しかし年齢を経て引き出しを増やす姿もまた、サッカー選手らしい円熟とも言える

このまま終わらせるわけにいけないと

 当時は遠藤や今野泰幸が健在だったが、いまや宇佐美はその経験値を含めて考えれば堂々たるベテランである。試合前のロッカールームで仲間を鼓舞したり、日々の練習から若手にアドバイスを送ったりする姿にはチームリーダーとしての自覚も滲み出る。

「自分で意識してそうなろうとは思ってないんですけど、じゃあ誰がやらなアカンねん、という時に『俺はやりたくない』と思う方がおかしいですよ。大した経験値じゃないと思いますが、そういう経験もさせてもらって伝えられることも多いと思います。僕だけじゃなくヒガシくん、(倉田)秋くん、(昌子)源とかそういう選手たちとたくさんコミュニケーションを取る中で、自分自身も声を出していけるので。チームになにをどう伝えて行くかをまず最初に話せる仲間がいるのも、僕が変化していくきっかけになったと思います」

「僕は出来れば黙々とやりたいタイプ」と公言してきた宇佐美が見せる内面の変化も、全てはルーキー当時に見てきた強く、そして魅せるガンバ大阪を復権させるためである。長谷川健太元監督のもとで、第二次黄金期を牽引してきた男はキッパリと言う。

「チームとしても個人としても、このまま終わらせるわけにいかないと強く思っていますし、やはりJリーグの順位で下の方にガンバ大阪の名があるのは気分が良くない。自分も上昇して行く中でチームも上昇していってほしいし、そのための努力をピッチ内外でしていきたいですね」

今はキャプテンになってやろうというよりも

 地位は人を作る、と言う。

 かつてマイペースで知られた遠藤も、長谷川体制下でキャプテンを託され、左腕に腕章を巻く姿がすっかり板についたが、宇佐美にもインタビューの最後にやや無茶ぶりをしてみた。来年キャプテンを託されたとしたら――。

「えーっ。いや、さっきいった選手たちにまず相談します。ヒガシくんとか、秋くんに。『そうやって言われてんねんけど』ってまず相談はしますけど、キャラクター的にキャプテンは違うと思うので、キャプテンはやらないかな」

 だが、こんな過去もある。宇佐美の才能を早くから見抜いていたジュニアユース時代の恩師、鴨川幸司さん(現FCティアモ枚方ジュニアユース監督アカデミーダイレクター)は、とんがっていた少年がキャプテンシーを併せ持つことを早くから看破。キャプテンマークを託していた時代があった。

「魅力的だと思いますし、もし任せたいと言われたとしたら、言ってもらえるような振る舞いができているということだと思います。そうなれば受けるかもしれないですけどね。まず、そう言ってもらえるような選手になっていきたい。ただ、今はキャプテンになってやろうというよりも、自分の立ち位置で見えることを、いいニュアンスで若い選手に伝えたいし、上の選手にもうまく伝えたい。チームのために相手を見ながらやっていきたいですね」

 もがき、苦しみ、そして涙さえ流した2021年の濃密な日々は、確実に宇佐美貴史というサッカー選手の糧になっているということである。<前編も>

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「一度サッカーから離れてみるのもありかな」「自分に罵声を」宇佐美貴史29歳、降格危機ガンバでの苦悩と心の支え〈インタビュー〉

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