- #1
- #2
来た、見た、書いたBACK NUMBER
30代直前の宇佐美貴史が語る“泥臭いスライディング”の意味とヒーロー観「家長くんは凄いなと」「理想に近いのはミュラー」
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/12/03 17:04
宇佐美貴史、最大の魅力と言えばフィニッシャーとしての才覚だ。しかし年齢を経て引き出しを増やす姿もまた、サッカー選手らしい円熟とも言える
30代を目前に控え、プレー面でもメンタル的にも以前とは違う姿を見せ始めている宇佐美。「あと何年やれるか分からないけど、キャリアの折り返し地点ではない。自分がプロでやれる時間がどんどん短くなっている」と今年の誕生日に強く感じたと言う。
この先のキャリアで活躍するためにも、「ニュー宇佐美」を模索したい1年だったが、直面したのは残留争い。理想と現実の狭間で、選んだのはフォア・ザ・チームに徹するという割り切りだった。
競り負けたマリノス戦、宇佐美はトップ下で牽引した
「自分ではこの先にこうなりたいとか、こういうスタイルでやりたいというのはありますけど、その理想のプレーができる状況ではなかった。ボールもほとんど持てないですし、持たれることが多い。ボールを持ったら持ったで、(36節の)名古屋戦のようにカウンターでやられることも多いのでね。
ADVERTISEMENT
『しっかりと全員で守って、縦に速く行ったほうがいいんじゃないか』というコミュニケーションもありました。チームとしてそういう形がちょっとずつ出来てきて、そこで自分が出来るスタイルを考えてプレーしていました」
それでも宇佐美が躍動すると、ガンバ大阪の攻撃は鋭さを増す。8月6日の横浜FM戦は、2対3で競り負けたものの今季のベストゲームの1つ。宇佐美はトップ下で攻撃を牽引した。
「スムーズな攻撃の流れを作ることですね。僕のところで絶対につっかえてはいけないし、自分が作り出した攻撃の流れに、僕自身も乗っかって結果を出す。今のチーム状況を考えると個人としてもガンバとしても、その役割が必要だと思います。色々な引き出しを持っていたいですし、その中からいろんなものを持ち出してチームの攻撃を引っ張っていきたいですね」
バイエルンで同僚だったミュラーを“お手本”に
そんなプレースタイルの具体的なお手本も宇佐美の頭の中には存在する。かつてバイエルン・ミュンヘンでチームメイトでもあったトーマス・ミュラーである。