保守的→攻めのリードの転じたきっかけ

　早くから頭角を現していた。

　2年生の春から実質的な正捕手としてマスクを被り、千葉県大学リーグで2本塁打とインパクトを残した。チームの将来を担う若い才能はしかし、監督の菅原悦郎から厳しい要求を受け続けた。守備、なかでもリード面をシビアに評価してきたのだと、指揮官は語る。

「佐藤は守りに入ってしまった時期があって、バッターとしての自分が『嫌だな』と思うところで配球をしていたんですね」

　配球の基準が佐藤自身の打撃ということは、主観が強く出てしまう。チームには数多くのピッチャーがいるため、一方通行のリードではまとめきれないと菅原は危惧していたのだ。

　そんな保守的な佐藤が攻めのリードに転じたのは、「この1年くらい」だと菅原は言う。きっかけは、エース・古田島成龍の存在だった。指揮官が「監督を長くやってきたなかで、けた違いの強いボールを持っているピッチャー」と素質を認める速球派と信頼関係を築く。そのことで、佐藤の配球にも勢いが生まれたのだと、菅原は満足げに話す。

「『ここで押してくれれば』とずっと思っていたんですが、古田島とバッテリーとしての経験を積むことで、『ここで』という場面で押し切れるようになりました」

　これには古田島も大きく頷く。佐藤の相棒は断言した。

「試合ではよく考えているというか、頭がいいんです。今まで出会ったなかで総合的にうまい、いいキャッチャーです」

　監督の菅原に指摘されてきた、バッターとしての自分と照らし合わせてしまっていたリード。それは、打撃にも言えることだった。

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