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南野拓実vs冨安健洋「プレミア名門で日本人対決」は香川、吉田、岡崎も未達成… リバプールvsアーセナルが秘めた《3つの意義》
posted2021/11/22 17:05
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
PA Images/AFLO
試合後、南野拓実と冨安健洋は互いの健闘を称え合っていた。
南野が冨安の下に歩み寄ると、2人は握手を交わして抱擁。しばし談笑した後、18番の背番号がついたそれぞれのユニホームを交換した。別れ際には日本人らしく、後輩の冨安が南野に会釈していたのが印象的だった。
しばらくすると、得点を決めた南野は、ユルゲン・クロップ監督に抱きしめられゴールを祝福されていた。一方、冨安はアウェイのアンフィールドに駆けつけたアーセナルサポーターのいるスタンドに向かい、0-4で大敗しながらも最後まで声援を送ってくれたファンに拍手で応えていた。
ついに聖地アンフィールドでゴールした南野
20日にアンフィールドで行われたリバプール対アーセナル戦。アーセナルの冨安は4-4-1-1の右SBとして9試合連続の先発出場を果たし、リバプールの南野も後半31分から4-3-3のCFとして途中出場した。時間は限定的だったが、プレミアリーグ史上3度目となる日本人対決が、リバプールの本拠地アンフィールドで実現したのである。
この一戦で、南野はチームのダメ押し点となる4点目を奪い、今季リーグ戦で初ゴールを記録した。20年1月に入団した日本代表FWはこれまでリバプールで7ゴールを奪ってきたが、すべてアウェイと中立地(ウェンブリースタジアム)で決めたものだった。リバプールの一員として、アンフィールドの住民たちを自身のゴールで初めて揺らすことができた。
一方の冨安は、右サイドバックとしてフル出場した。試合序盤こそマッチアップしたセネガル代表FWサディオ・マネをうまく抑えていたが、チーム全体が次第に劣勢に。押し込まれる展開の中で、冨安のいるエリアから崩されるシーンも増えていった。スライディングを何度も強いられたせいか、試合後にはショートパンツの側面が雨に濡れた土で真っ黒になるほど、リバプールの分厚い攻めに苦しんだ。
アーセナル健闘の下馬評もあったが、力量差は……
試合前、英メディアが注目していたのが「直近8試合で6勝2分で無敗のアーセナルが、強豪リバプールを相手にどこまでやれるか」だった。テレビ中継で解説を担当した元アーセナルのジャック・ウィルシャーも「難所のアンフィールドで、強敵のリバプールと対戦する。今のアーセナルは好調だが、まだ経験が浅い。彼らにとって真のテストになる」とし、この一戦がヤング・アーセナルの現在地を知る「ものさし」になると語っていた。
だが、両チームの力の差は歴然としていた。