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気鋭の新監督ナーゲルスマンの下で10連覇へと突き進む盟主バイエルン 「完璧な4カ月」を過ごすも超攻撃的布陣に潜む一抹の不安

posted2021/11/20 17:01

 
気鋭の新監督ナーゲルスマンの下で10連覇へと突き進む盟主バイエルン 「完璧な4カ月」を過ごすも超攻撃的布陣に潜む一抹の不安<Number Web> photograph by Getty Images

今季よりバイエルンの指揮を執るナーゲルスマン。34歳の若き知将はいかなる手腕でビッグクラブを10連覇へと導くのか

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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「ユリアン・ナーゲルスマンがバイエルンの監督になる」

 そんなオフィシャルニュースがドイツ中を駆け巡ったのは、今年の4月下旬のことだ。2500万ユーロという監督としては破格の資金を投資してまでドイツの盟主が全力で獲得に動いたわけだが、ドイツ国内では「ナーゲルスマンは、バイエルンにとって疑うことなくスリリングな“実験”となる。経営的に難しいコロナ禍で、果たして“実験”をやり通すことができるだろうか」と懐疑的な声もあった。

バイエルンはタイトルだけで測られる

 バイエルンには、良くも悪くも幾多のタイトルを勝ち取ってきた重鎮OBがたくさんいる。彼らには発言力がある。バイエルンの矜持を胸に宿す彼らは、バイエルンがバイエルンであるために何が必要かを重く説く。

 元キャプテンのシュテファン・エッフェンベルクはナーゲルスマンを「スーパーな監督」と認めたうえで、「ただ、バイエルンはタイトルだけで測られる。そして、そのタイトルというのはチャンピオンズリーグ(CL)をおいてほかにない」と語った。

 リーグ、ドイツカップ、CL、クラブワールドカップ、UEFAスーパーカップ、DFLスーパーカップの6冠を成し遂げたハンシィ・フリック監督(現ドイツ代表監督)の後任であるだけに、のしかかるプレッシャーも巨大だ。

 数多の見解が飛び交う中、ナーゲルスマンはバイエルンでの最初の4カ月をどのように過ごしてきたのだろうか。

 リーグでは首位を独走し、CLではグループステージ4戦4勝。元バイエルン代表取締役のカールハインツ・ルンメニゲは、こう絶賛している。

「ここまでの出来はパーフェクトだ。ナーゲルスマンは、ユップ・ハインケス、ペップ・グアルディオラ、そして、ハンシィ・フリックがこの10年うまく機能させてきたものを、さらに成長させようとしている。完全に新しいことを始めているのではなく、植えられた植物にうまい具合に水分を与え、さらに大きくするように働きかけているようだ」

【次ページ】 「1対0や2対0よりも5対2のほうが好き」

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