プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンCのプレミア連覇を濃厚にした、
主将CBコンパニ「運命」の一撃。
posted2019/05/11 17:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
運命の一撃。
5月6日のマンチェスター・シティ対レスター(1-0)で、マンC主将のバンサン・コンパニがゴール右上に叩き込んだミドルシュートは、そう呼べるだけの衝撃を伴う決勝ゴールだった。
プレミアリーグ最終節を前に、2位リバプールと勝ち点1ポイント差の首位にチームを押し上げた貴重な得点は、今季32度目の首位交代を意味する一発でもあった。そのうち29回に渡って首位攻防を演じてきたリバプールとの争いは、まさにマッチレース。マンCが開幕15試合無敗を飾れば、リバプールは負け知らずのまま前半戦を終えた。後半戦もマンCのリーグ戦13連勝に対し、リバプールも16試合負けなしと譲らない。
近年稀に見るハイレベルな二頭立てレースが展開される中、国内メディアでは、もはや勝敗を分ける要素は運命しか考えられないと言われるようになっていた。当事者の1人であるリバプールのユルゲン・クロップ監督も、連覇を狙うマンC相手に29年ぶりの優勝を争い続ける中で「運命」という言葉を口にしている。
執念のレスターを沈めた劇的ミドル。
マンCはレスター相手に苦しんだ。2日早く37節を終えたリバプールが1ポイント差の首位で最終節を迎えるかに思われたが、状況を逆転したコンパニのゴールがマンC優勝の可能性を高めたことになる。実際、優勢に見えながらもレスターから得点を奪えず1時間以上が過ぎる展開は、どれだけ勝利を重ねてもリバプールを振り切れない今季のタイトルレースさながらだった。
レスターに自信を取り戻させたのは、今季途中就任のブレンダン・ロジャーズだ。そのしぶとい戦いぶりからは、リバプールが悲願のプレミア優勝に迫った2013-14シーズンに指揮を執っていたロジャーズが、2ポイント差でマンCにタイトルを譲った借りを返そうとしているかのような執念さえ感じられた。
セルヒオ・アグエロのバーの下を叩いたヘディングシュートは、ゴールラインを越える直前でカスパー・シュマイケルに掻き出された。そのシュマイケルでさえ防げなかったコンパニの右足シュートは、劇的なカーブを描きながら力強く運命を引き寄せた。