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弱小クラブ入団時は《2人で8億4000万円》→104億円マンU移籍マグワイアとリバプール最強SBロバートソンの友情ライバル史
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2021/10/27 17:04
2020年のマグワイアvsロバートソン。プレミア有数の人気クラブにたどり着いた2人はまさに健全なライバルだ
昨季リーグ1(3部)からチャンピオンシップ再昇格を決めたが、現在はその2部で22位と苦しんでいる。クラブ初のトップカテゴリー参戦となった2008-09シーズンから数えて、プレミアで計5シーズンを戦っており最高位は13-14シーズンの16位だ。
そのシーズン、FAカップでは決勝に進出。開始8分で2点を先行するもその後追いつかれ、延長戦でアーロン・ラムジーに決勝点を許し、クラブ史上初のメジャータイトルには届かなかった。
そんな喜びも悔いも残るシーズンを終えた2カ月後、2人の若手ディフェンダーが加入したのだ。
「アンディとハリーは最も才能のある2人だ」
ダンディー・Uでの活躍が認められ、2014年3月にはスコットランド代表デビュー。シーズン終了後にはPFAスコットランド最優秀若手選手賞に選出されたロバートソン。シェフィールド・Uで160試合以上に出場し、リーグ1の年間ベストイレブンに3年連続で選出されたマグワイア。
ともに有望株であることは間違いないが、中堅国あるいは下部リーグで突出した若手、という評価に過ぎなかった。そんな彼らの可能性を最初に信じたのが、ハルをFA杯決勝に導いたスティーブ・ブルースだ。
「私はこのチームに加えられる若い選手を常に探している。アンディとハリーはその中でも最も才能のある2人だ」
「2人とも大きな未来が待っていることは間違いない」
まず信頼を勝ち得たのはロバートソンだ。
不動の存在がいなかった左サイドバックで、マイノル・フィゲロアやリアム・ロシニアーとのポジション争いに勝利。3バック時にはサイドハーフとしての力量も示し、プレミア初挑戦で24試合に出場した。
一方のマグワイアは前半戦でリーグ戦3試合、それも味方の負傷による途中出場で計91分間のプレー時間に止まった。3部からの “飛び級昇格”は想像以上に難しく、シーズン途中に2部ウィガンにローン移籍。第31節から最終節までの16試合で全てフル出場している。
14-15シーズン、チームは18位に終わり2部降格。翌15-16ではロバートソンは主力としてリーグ戦42試合に、ローンバックのマグワイアもシーズン中盤と終盤戦で出場機会を増やし計22試合に出場した。
昇格プレーオフを勝ち抜き再びプレミアリーグの挑戦権を得たが、2人を見出したブルースがシーズン終了後に監督辞任を示唆。勝手にクラブ名称の変更を推し進めるなど蛮行が目立つアッセム・アラム会長との関係が悪化し、2016年7月にクラブを去った。