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弱小クラブ入団時は《2人で8億4000万円》→104億円マンU移籍マグワイアとリバプール最強SBロバートソンの友情ライバル史
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2021/10/27 17:04
2020年のマグワイアvsロバートソン。プレミア有数の人気クラブにたどり着いた2人はまさに健全なライバルだ
マイク・フィラン暫定監督(その後正式に監督に就任)で開幕した16-17シーズンは開幕戦で前年度王者レスターに勝利し好スタートを切ったが、その後低迷。1月にはマルコ・シウバに舵取りを任せるも、完璧に立て直すことはできず、人事や補強のゴタゴタから始まったシーズンは1年での2部降格に終わった。
そんな苦しいシーズンで印象に残るパフォーマンスを見せたのがロバートソンとマグワイアである。
「更衣室では自然とお互いに惹かれ合ったよ」
前者は豊富な運動量と堅実な守備を披露したうえで、チームとしてボールを握る時間が少ない中でも高いクロスとパスの成功率を残し、供給能力の高さを示した。後者は空中戦の強さとボール運びの安定感があり、終盤は2試合でキャプテンを務めるなど24歳ながらディフェンスリーダーとしての素質を見せた。
ともにシーズン途中に2018年夏までの契約延長を発表していたが、降格が決まったクラブで出色の出来だった若いディフェンダーを、他のクラブが放っておくはずがない。多くのクラブから打診を受けたマグワイアは2017年6月15日にレスターへの移籍を、その約1カ月後にはロバートソンのリバプール移籍が発表された。
その後はここで多くを説明するまでもない。
レッズ加入1年目でアルベルト・モレノからポジションを奪ったロバートソンは、2度のCLファイナルに出場し、18-19シーズンにビッグイヤーを掲げた。その2カ月後にレスターとイングランド代表で好パフォーマンスのマグワイアが、ディフェンダーとして史上最高額の移籍金8000万ポンド(約104億円)でマンチェスター・Uに移籍した。
今年1月、ジェイミー・キャラガーのポッドキャスト『The Greatest Game』に出演したロバートソンは、マグワイアと最初に出会ったときのことを振り返っている。
「僕とハリーが同じ日に契約した時、更衣室では自然とお互いに惹かれ合ったよ。2人とも若くて、自分の道を切り開こうとしていて、チームに知り合いがほとんどいなかったからね」
2人は今も連絡は取り合っている
まだ人生経験も浅い20歳そこらで、知り合いもいない場所で新たな生活をする。それがいかに大変であるかということは、経験がある人にとっては理解に容易いのではないだろうか。ロバートソンとマグワイアは互いがフットボーラーとして、孤独な挑戦ではないと信じ合える仲間だった。