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弱小クラブ入団時は《2人で8億4000万円》→104億円マンU移籍マグワイアとリバプール最強SBロバートソンの友情ライバル史
posted2021/10/27 17:04
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
Getty Images
衝撃的なスコアと言うほかない。
マンチェスター・ユナイテッドvsリバプール。イングランドを代表する2つのメガクラブによるビッグマッチのスコアボードには「0-5」の数字が並んだ。
ユナイテッドがオールド・トラッフォードでの同カードで5点差以上の敗戦を喫したのは史上初、また5失点は1936年11月以来約85年ぶり。まさに歴史に残る大敗だ。
チームとしての完成度の差を如実に表した一戦といえるだろう。
ファイナルサードでの連動性が見えないためにサイドで攻めあぐね、守備ではボールの奪いどころを共有できていない状態で無謀なハイプレスを敢行したユナイテッド。対するリバプールはファビーニョ不在、途中で2人の負傷交代のアクシデントがありながらも、守備での嵌めどころがチーム内で明確にあった。
前半だけでリバプールが4点をリードした試合は、その後ポール・ポグバの退場もあってより一方的な展開に。内容、結果ともに明暗をくっきりと分ける形となった。毎度毎度ただの名勝負では終わらない、伝統の一戦たる90分だ。
7年前、合わせて535万ポンドだったあの2人が
そんな当該ファンのみならず、すべてのプレミアリーグファンが見守る一戦で、とあるマッチアップが実現した。これは7年前に偶然の出会いを果たし、今はライバルとして戦う2人のストーリーである。
2014年7月29日、当時プレミアリーグのハルは2人の無名の若者の獲得を発表した。スコットランドのダンディー・ユナイテッドから20歳のアンドリュー・ロバートソン、そして3部シェフィールド・ユナイテッドから21歳のハリー・マグワイア。
KCスタジアムのスタンドに、オレンジと黒のストライプをまとって並んだ写真がお披露目された。ともに今のような風格はなく、どこかあどけなさの残る少年の顔つきだ。
「これが大きなステップになることは分かっているが、まずは毎試合プレーできるようにならなければならない」2人が語った意気込みは、プレミアリーグでの挑戦に興奮しつつも、強い決意が表れていた。
この時、合わせて535万ポンド(約8億4000万円)で加入したこの2人が、数年後イングランドを代表するメガクラブで押しも押されもせぬ主力となることを一体何人が想像できただろうか。
出会いは港町のスモールクラブ
イギリス東海岸付近に位置する程よく落ち着いた港町を拠点とするハル・シティAFCは近年、プレミアリーグとチャンピオンシップを行き来するスモールクラブ。現ウェストハムのジャロッド・ボーウェンもこのクラブで一躍有名になった。