サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
元日本代表・中村憲剛が“痛すぎるサウジに敗戦”を徹底分析する「柴崎岳のパスミスは起こるべくして起きた」
posted2021/10/12 11:01
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
日本代表が追い詰められている。
10月7日に行なわれたサウジアラビア戦に0対1で敗れ、3試合を終えて1勝2敗の勝点3にとどまっているのだ。3連勝のサウジアラビアとオーストラリアとは、勝点6差をつけられてしまっている。
元日本代表MFの中村憲剛氏に、今回も解説をしてもらう。お馴染みの的確なゲーム分析だけでなく、自身の経験として2010年の南アフリカW杯に触れてもらった。大会直前のテストマッチで4連敗を喫したチームが、前評判を覆してベスト16入りした要因は、日本代表の未来に不安を感じているファン・サポーターはもちろん、いままさに戦っている日本代表の選手たちにも知ってほしいものである(全2回の1回目/#2に続く)。
◆◆◆
まだ序盤戦だけど「ここ数年の最終予選で一番厳しい」
大変な状況になりました。3戦を終えて1勝2敗で、ライバルのサウジアラビアとオーストラリアは無傷の3連勝です。序盤戦という前提はありますが、ここ数年の最終予選で一番厳しいと言ってもいいぐらいです。
最終予選の日程が決まったときに、予選突破を争うライバルのサウジ、オーストラリアとの10月の2連戦がポイントになる。とくにアウェイのサウジ戦は厳しい試合になると、誰もが予想したはずです。オマーンとの初戦に負けたことで、その2試合にさらに大きなプレッシャーがかかるなかで臨まなければならなくなりました。もちろん、それだけプレッシャーのかかった試合を一丸となって取れば追い風が吹き、ここから巻き返していくぞ! とチームの気運の高まる試合になったのですが……。
迎え撃つサウジからすれば、ここで日本を叩けば勝点差が「6」になる。調子の上がらないライバルを一気に突き放すチャンスが来たわけです。気合が入らないはずがありません。
僕自身も経験がありますが、中東のアウェイゲームには独特の空気感があります。ピッチコンディションもあまり良くないように見えました。精神的なプレッシャーとあわせて、ボールが落ち着かない条件が多々あったように思います。
高温多湿の気象条件も、選手たちを悩ませたでしょう。ヨーロッパでプレーする選手たちは移動距離こそ短かったですが、普段そこまで湿度の高くないカラッとした気候のなかで試合をしています。そういう環境に慣れた彼らにとっては、暑さよりも湿度がかなりキツかったのでは──試合開始からすぐに汗だくになり、水分を補給している彼らの姿を観ていてそう感じました。