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「日本には強烈なショックが必要だ」トルシエが語るサウジ戦…日本代表に欠けていた「野心」と「マネジメント」を埋める術とは?
posted2021/10/11 17:30
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
「日本の敗戦は見た」
それがフィリップ・トルシエの第一声だった。日本がサウジアラビアに0対1で敗れたカタールW杯アジア最終予選第3節の試合終了直後、私たちは電話で話し合っていた。緒戦のオマーン戦に続き、接戦をモノにできなかった日本代表をトルシエはどう評価したのか。率直な意見を聞いた。
――試合をすべて見たのですか?
「放映するテレビ局を見つけるのが難しく、アラブの放送を見たから幾つかのシーンは見られなかった。
どうしてなのかわからないが、日本はコレクティブな面で敗れた。コレクティブなクオリティを欠いていた。内容も乏しかった。個の面でも技術的なミスが多く、選手の能力も見劣りがした。インテンシティも動きも質・量ともに不十分で、試合の重圧があったのかも知れないが、これまで日本が作りあげてきたDNAがこの試合では何も感じられなかった。
たしかに大迫はチャンスを2度作り出し、これだけ出来の悪い試合でも、前半の日本は2点入れていてもおかしくはなかった。サッカーはそうした効率のディテールで勝負が決まるが、私の最大の失望は日本がまったくコレクティブでなかったことだ。本当に何もなかった。プランも戦略も感じられなかった。最後の十数分を除き、ゴール前に積極的に侵入することもなかった。しかしサッカーでは、終盤はだいたいそんな風にグチャグチャになる。
才能を欠く選手たちが自分たちの本性に反するサッカーをした。このチームに才能は感じられない。何かができるとしたらコレクティブになったときだけだが、それもなかったから個人では何もできなかった。ゴール前への侵入もなく誰も違いを作り出せなかった」
――その通りでした。
時間がないのは言い訳にならない
「サウジアラビアも決して良くはなかった。彼らの出来もまたごく平凡だった。サウジも大きなプレッシャーを受けて、緊張していたのかも知れないが」
――しかし日本よりもコレクティブで規律もあったのは明らかではないですか。
「ディシプリンがあったのは間違いない。それはマネジメントの効果だろう。私は監督のエルベ・ルナールをよく知っている。彼は規律に溢れ、組織的にチームを構築する。
日本は自分たちの経験を生かそうとした。経験に溢れた選手を揃えたが、インテンシティを欠き野心も感じられなかった。どうしても勝ちたいという気持ちが、日本からは感じられなかった」
――オマーン戦もそうでしたが、集合から試合までの時間が短く、2~3回の練習しかできません。オマーンはセルビアで1カ月の合宿を行いましたし、サウジアラビアも準備の時間を十分に取っています。2連戦の初戦はいつもこうなります。