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「タキは大丈夫だ」クロップが信頼のハグ… リバプール南野拓実の「密猟者」な2ゴールと進化した《プレミア仕様のお尻と太もも》
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byJohn Powell/Getty Images
posted2021/09/24 17:02
今季初の公式戦で2ゴール。南野拓実らしい巧みな動き出しと、注目したいのは肉体の進化だ
同僚ジョー・ゴメスが「タキは“密猟者”だ」と称賛
その得点も偶発的に生まれたわけではない。ピッチ上のプレーに進化の跡が確認できた。
南野がキックオフ時から何度も仕掛けていたのが、相手DFラインの背後に抜けるフリーランだった。4-3-3の左FWとして先発した南野は、味方がボールを持つとタイミングを見計らって裏のスペースを突いた。「相手チームにとっては嫌な動きだろうな」と感じたのは、こうしたトライを南野が諦めることなく何度も、何度も続けていたことである。
前線に飛び出そうとしても、味方からパスが出てこなければ、もう一度オンサイドのエリアに戻る。そして味方がボールを持ち直すと、再び裏を突くフリーランを仕掛けた。味方からクロスボールが入りそうになると、必ずといっていいほどマーカーの前に入り、一瞬フリーになってシュートに備えた。
そんな南野の動きを褒め称えていたのが、チームメートのDFジョー・ゴメスである。「タキ(南野)はポーチャーだ」と表現したのだ。ポーチャーの日本語訳は「密猟者」。サッカー用語では「ペナルティエリア内で駆け引きを繰り返すFW」のことを指すが、ゴメスが南野の特性をよく理解しているからこその発言だろう。
試合前日の会見でアシスタントコーチのペップ・リンダースが「タキはGKと1対1になる回数が非常に多い。超高速のスピードがなくても、DFラインの背後に抜けるタイミングが非常に良い。インテリジェントな選手だ」と評していたが、その言葉通りの動きだった。
チームが2-0にリードを広げると、後半7分からポジションを右インサイドMFに移したが、今度はMFとして相手中盤のスペースに忍び込み、円滑なボールポゼッションで貢献した。
これまでとの違いは、こうした南野の動き出しを味方が察知し、常に意識しながらプレーしていることだ。もともと南野は、敵を圧倒するようなスピードで勝負するタイプではない。そのため、マーカーがついていれば、味方も無理にパスを出さない。しかし、チャンスと見れば、南野の動き出しに合わせてボールを入れた。
この背景には、加入から時間が経過し、チームメートとのコミュニケーションが進んだことがある。実際に試合中も、南野は頻繁にインサイドMFのナビ・ケイタを捕まえて意見交換をしていた。南野もチーム戦術への理解が深まり、より効果的に機能するようになったのだ。
記者席からも分かるほどの体つきの変化
もうひとつ、記者席で気がついたのは体つきの変化だった。